著者
牛山 素行 寶 馨
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第18回(2005年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.13, 2005 (Released:2005-07-25)

降水量極値更新の情報は,豪雨時に,豪雨の激しさを伝える情報としてわかりやすく,有用な豪雨防災情報である.近年のデータ蓄積により,多くの観測地点について,極値更新情報が得られるようになったため,その基礎的な統計的性質を検討した.AMeDASデータ(観測所数1109,統計期間1979_から_2003)を用いた検討では,極値が更新されるまでの平均期間,すなわち平均記録保持年数は,各統計量とも経年的に線形で増加する傾向が認められた.おおむね統計期間が2年増えると,平均記録保持年数が1年長くなる.極値更新観測所出現率は,観測開始後10年で約10%,20年で約5%となった.SDPデータ(観測所数141,統計期間1961_から_2002)による検討結果もほぼ同様であった.
著者
山田 拓也 山田 正
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第18回(2005年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.138, 2005 (Released:2005-07-25)

津波の河川遡上や洪水波の流下等,河川を伝播する波動現象は河川管理上非常に重要な問題である. 特に河川蛇行部では曲率に伴う遠心力の影響により,波の振幅が増大する事が考えられる.従って川を遡上・流下する波動の解析には河川形状の影響を正確に反映する必要がある.従来,波動論では水深変化に伴う波形変化や砕波・分散の影響に関する1次元解析が幾多の研究者により研究され,優れた成果が示されている.一方,河川で生じる波動現象に着目し,河川形状を正確に考慮した二次元理論解析を行った研究は著者が調べる限り存在しない.本研究では, 任意河川形状に適合する一般化座標系を用いて河川形状を解析に正確に反映した河川に於ける波動解析を行う.
著者
宮本 守 木内 豪
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第18回(2005年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.51, 2005 (Released:2005-07-25)

人口増加や生活水準の高度化などの都市成長により,都市の熱環境は近年大きく変化している.水圏においても河川水温上昇や淡水化など人為的要因による問題が考えられる.本論文では東京都区部とその周辺地域を流れる荒川下流部を対象として河川水温の長期変動傾向の分析と水熱輸送統合モデルを用いた水温変動の原因解明を行った.その結果,最近20年間の河川水温は新河岸川と荒川の岩淵水門より上流部において顕著な上昇傾向を示していた.逆に隅田川と荒川下流部では,20年間の観測結果からは顕著な水温上昇は観られなかった.また数値計算によって,1998年から2000年までの3年間の河川水温の挙動を再現し,その結果から下水処理水が冬期に約3℃程度河川水温を上昇させていることも確認された.