著者
田口 英明
出版者
湘南工科大学
雑誌
湘南工科大学紀要 = SHONAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY JOURNAL (ISSN:09192549)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.57-73, 2023-03-31

本稿の目的は,筆者がこれまで行ってきた元禄から享保期の上層民を対象とした経済思想史研究の論点を整理し,それをまとめるための視角を設定することにある。本稿では,江戸時代の実務家の経済思想史研究の流れの中に本研究を位置付け,元禄・享保期に着目する理由を明らかにした上で,経済思想史研究と書物の社会研究史の架橋となるような視角として,当該期の実務家の思想の中に「作為」の意識を析出するという枠組みを設定している。それを踏まえて,当該期の上層民に「自然」なものと認識されていた社会観・経済観を概観する。そして,元禄期に萌芽的に見られた「作為」の意識が,幕府の制度変更に対応・対抗する形で成長していく過程を,田中休愚の事例を中心に考察している。I have, in the last three years, published several papers concerning economic thoughts of upper town people from GENROKU to KYOHO period. This paper aims to review main points of these papers and constitute a study framework for this theme. In the first part of this paper, I will survey previous studies of history of economic thoughts and will try to position my study into them. I assume that in economic thoughts of upper town people in these periods, we can detect personalities which allowed them to adapt themselves to changes in society and economy they faced. They also tried to take ingenuity and intentional activities to improve their domestic economy and then their local economy.
著者
長谷川 将規
出版者
湘南工科大学
雑誌
湘南工科大学紀要 = Shonan Institute of Technology journal (ISSN:09192549)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.103-116, 2018-02

本稿は、経済制裁への理解を深めるため、経済制裁をめぐる以下の4つの問いを考察する。経済制裁は有効なのか。なぜ国家は経済制裁を利用するのか。どのような状況下で経済制裁は有効になるのか。経済制裁の成否はどのような基準によって評価されるべきなのか。従来の研究は、経済制裁は有効なのかという不毛な問いに焦点を当てる傾向があった。また、経済制裁を「強制」(ターゲットの譲歩や行為の修正)という観点からのみ考察し、「強制」に成功したか否かという基準だけから制裁の有効性や妥当性を評価しがちであった。本稿は、経済制裁には他にも重要な目的――「シグナリング」と「封じ込め」――が存在することを指摘し、こうした傾向を批判する。さらに、これら3つの異なる目的が、どのような状況下で成功しうるのかを考察する。最後に本稿は、経済制裁の有効性と妥当性をどのように評価すべきなのかを考える。経済制裁の成否は、「強制」の成否によってではなく、制裁を利用する国家の戦略状況の改善という観点から評価されるべきである。
著者
神戸 和佳子 原 圭寛
出版者
湘南工科大学
雑誌
湘南工科大学紀要 = Shonan Institute of Technology journal (ISSN:09192549)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.85-92, 2021-03

本稿は,中等教育において必修となっている「総合的な学習(探究)の時間」の教育課程内の位置づけと意義について,実践例を交えて検討することで,中学校及び高等学校のカリキュラム編成の一助とすることを目的とする。ここでは国立教育政策研究所が示す「総合的な学習の時間」の事例について,奈須の述べる「コンピテンシー・ベイス」の教育が持つ「危うさ」という観点から,改訂版ブルーム・タキソノミーの枠組みを用いて分析することでその問題点を指摘し,これを補完し得るものとしてアメリカ・ハワイ州におけるP4Cの実践を紹介する。 This paper examines the Period of Integrated Studies in secondary schools in Japan, from the viewpoint of the "risks which competency-based education has," by using the framework of Revised Bloom's Taxonomy and comparison with an activity of P4C Hawaii. As a result, representative cases of the Period of Integrated Studies contain such risks and the activity in P4C Hawaii contains hints to solve them.