著者
松藤 ちひろ
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2018-CG-171, no.15, pp.1-2, 2018-09-23

筆者はS.Kajiらが2012年に発表した論文"Mathematical Analysis on Affine Mapsfor 2D Shape Interpolation"[1]の実装を試みている.この論文では2000年にAlexaらが提案した変形行列を用いたARAPと呼ばれるモーフィング手法に改良を加えた二次元モデルに対する補間手法を提案している.一方三次元モデルに対するモーフィング手法も2016年にS.Kajiによって提案されている("TETRISATION OF TRIANGULAR MESHES AND ITS APPLICATION IN SHAPE BLENDING"[2]).筆者はこの二つの論文を元にMathematicaでの実装を行い変形の実験を行い様々な手法の特徴を考察した.さらに,M.Mullerらによって提案されたShape Matching("Meshless Deformations Based on Shape Matching"[3]) を組み合わせたモーフィングの実装を行い,拡張性のあるモーフィングライブラリとした.
著者
何 毅 謝 浩然 宮田 一乗
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2022-CG-187, no.1, pp.1-9, 2022-09-07

単視点画像からの 3D モデル再構成はディープラーニングの発展により大きな進歩を遂げたが,主流のテンプレートメッシュの変形による再構成手法は衣服などの非水密 3D モデルの再構成には不向きとされている.また,手書きスケッチは手軽にデザイン案を出せるため、画像入力による手法より使いやすい.本研究では,手描きスケッチ入力から 3D 衣服モデルを生成できる衣服デザイン支援システムを提案する.既存研究と異なり,提案手法は入力スケッチ画像から目標となる 3D モデルの符号なし距離関数 (UDF) を推測し,算出した UDF からメッシュの抽出を行う.さらに,Marching Cubes により生成されたメッシュの編集も可能となった.提案システムで生成した衣服モデルに対し,定量評価と主観評価両方で本研究の有効性を確認した.
著者
板倉 七海 酒匂 一世 原田 利宣 橋本 唯子
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2016-CG-165, no.19, pp.1-6, 2016-11-02

本研究では絶滅したニホンオオカミをはじめとした 8 種の動物の頭蓋骨と剥製や写真上の頭部形状に現れる曲線の比較 ・ 分析を行った.次に,その結果に基づいて和歌山大学が所蔵するニホンオオカミの頭蓋骨から正確な頭部形状を推定した.さらに CG で頭部形状を 3D モデル化し,再現するとともにニホンオオカミの全身形状も CG 上で創成して,“歩く”,“走る” といったモーション付けを行い,展示のための検討を行っている.
著者
出村 佑史 藤澤 誠 三河 正彦
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2018-CG-169, no.5, pp.1-6, 2018-02-24

本論文では,パーマや寝癖の表現を可能とする毛髪の塑性変形シミュレーション手法を提案する.毛髪のシミュレーションはコンピュータグラフィクスの分野において人間等のキャラクタを表現するのに必要不可欠なものであるが,ほとんどの場合シミュレーションが容易な弾性体としてその挙動が計算され,寝癖や整髪料の影響のような塑性変形は考慮されていない.提案手法では,毛髪の主成分であるケラチンと呼ばれるタンパク質内で結びついている側鎖結合を考慮し,実際の毛髪と同じように各結合で切断及び再結合を繰り返すことによって塑性変形を再現する.これらを,位置ベース法に組み込むことで高速かつ安定したシミュレーションを実現した.
著者
野間 裕太 川原 圭博
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2022-CG-185, no.8, pp.1-8, 2022-03-04

幾何形状処理において,3 次元メッシュ上にスカラー関数を定義する「パラメータ化」と呼ばれる手法は近年盛んに研究されている.特に,入力されたベクトル場に対し,勾配ベクトルがなるべくベクトル場と等しくなるようなスカラー関数を定義する手法は「沿ベクトル場パラメータ化 (Field-Aligned Parameterization)」と呼ばれ,テクスチャマッピングや多角形メッシュの生成といった多様な応用が存在する.既存手法では,スカラー関数の等高線が分岐する「特異点」が大量に出現することを許すことで,パラメータ化の高速な計算を実現してきた.しかし,特異点は最終形状の美観や使われ方に関わる重要な要素である一方で,既存手法では特異点の発生を制御することはできず,また特異点に対するインタラクティブな操作を十分に高速に行うことができなかった.そこで本稿では,与えた点のみが特異点となりそれ以外は特異点とならないように指定して,沿ベクトル場パラメータ化を高速に計算できる手法を提案する.
著者
中澤 桂介 阿部 雅樹 渡辺 大地 三上 浩司
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2017-CG-168, no.13, pp.1-6, 2017-11-01

「カタンの開拓者たち」 (以下 「カタン」 ) はボードゲームの一種である.カタンは,プレイヤー同士の交渉による資源交換が重要な意味を持ち,この際の駆け引きが大きな魅力と言える.現状でカタンのコンピュータ上での実装はいくつかあるが,これらの AI では交渉についてあまり考慮されておらず,人間同士の対戦に比べて面白さが損なわれている.これは,AI 側がプレイヤーの状況についての認識把握が不十分であることと,それを活かした駆け引きが行われないことが一因である.本研究は,既存の AI の特性に対し,AI 側がプレイヤーの状況を分析した上で,真偽を交えた情報を伝える機能を持たせるという手法を提案する.これにより,プレイヤーの認識を AI に有利なように誘導した上で交渉を行う事で,AI が既存実装よりも人間同士の対戦に近い行動を取る事を実現した.
著者
向井 智彦
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2016-CG-164, no.14, pp.1, 2016-09-14

本稿では,SIGGRAPH 2016 で発表された 「 Real-Time Skeletal Skinning with Optimized Centers of Rotation 」 の実装と実験を通じて得られた知見について報告する.
著者
笠 晃一
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2016-CG-163, no.2, pp.1-6, 2016-08-29

3 次元コンピュータグラフィックスにおける流体の表現では,粒子法の一種である SPH による物理シミュレーションを使用することが多い.SPHでは壁境界も粒子で表現するが,壁粒子は離散的に配置されるため流体粒子にいくつかの不自然な挙動が見られる.そこで,本研究では壁境界をポリゴンで表現し,その情報を離散境界に持たせることにした.そして,流体粒子が離散境界に接近したとき,その近傍でのみポリゴン壁を再構築するのである.これまでの研究で 1 個の平面に対する処理は確立されているが,ポリゴンが複数個あるときの辺と頂点の扱いは未解決のままであった.この問題に対しある程度の解決を見たので,ここでは辺と頂点の処理を中心に報告する.本研究の手法を用いることにより,ポリゴンメッシュの境界上でも流体粒子が自然な動きをすることが確認できた.