著者
中澤 桂介 阿部 雅樹 渡辺 大地 三上 浩司
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2017-CVIM-209, no.13, pp.1-6, 2017-11-01

「カタンの開拓者たち」 (以下 「カタン」 ) はボードゲームの一種である.カタンは,プレイヤー同士の交渉による資源交換が重要な意味を持ち,この際の駆け引きが大きな魅力と言える.現状でカタンのコンピュータ上での実装はいくつかあるが,これらの AI では交渉についてあまり考慮されておらず,人間同士の対戦に比べて面白さが損なわれている.これは,AI 側がプレイヤーの状況についての認識把握が不十分であることと,それを活かした駆け引きが行われないことが一因である.本研究は,既存の AI の特性に対し,AI 側がプレイヤーの状況を分析した上で,真偽を交えた情報を伝える機能を持たせるという手法を提案する.これにより,プレイヤーの認識を AI に有利なように誘導した上で交渉を行う事で,AI が既存実装よりも人間同士の対戦に近い行動を取る事を実現した.
著者
小島 啓史 竹内 亮太 石川 知一 三上 浩司 渡辺 大地 柿本 正憲 近藤 邦雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.1886-1898, 2014-08-15

オーロラのCGアニメーションのために,オーロラ特有の複雑な運動を擬似的に再現する手法を提案する.これまで,オーロラを対象にしたビジュアルシミュレーションの研究が多く行われてきた.しかしながら,実際のオーロラのように分断したり,接続して再統合したりするような複雑な様子を再現できる研究は行われていない.本研究では,分布特性を考慮してオーロラの擬似的な分布を無数の点群で近似する.水平方向に広がる2次元平面上に,ひとつながりになるように複数の点を配置する.この点列に対して,オーロラの分断と再統合の現象を考慮した接続関係の変更処理を行う.点列を切断し一部を分離する処理を行うことで,ひとつながりのオーロラが分断して複数のオーロラになるような様子を再現する.分離した複数の点列が再び接続する処理を行うことで,分断したオーロラのひだが再統合することでひとつながりのオーロラを形成する様子を再現する.また,電磁場計算と流体計算を用いた運動モデルを構築し,ひだの運動を表現する.オーロラの2次元分布を変化させることでオーロラ特有の複雑な運動を再現する.さらに,オーロラの2次元分布をもとに発光過程の計算を行いオーロラの3次元分布を計算する.1/fノイズを用いることで揺らぎのある自然な分布を再現した.この3次元分布をスクリーンに射影し描画することでオーロラのCGアニメーションを生成する.
著者
中村 陽介 三上 浩司 渡辺 大地 大圖 衛玄 伊藤 彰教 川島 基展 竹内 良太
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2012-CG-146, no.6, pp.1-8, 2012-01-31

近年,スマートフォン向けアプリやソーシャルゲーム等新しい市場に向けたゲームの普及により,その開発スタイルも市場に合わせ多様化する傾向にある.特に,短期間でのゲーム開発は,従来の家庭用ゲーム機向けの大規模な開発とは必要なノウハウが大きく異なっている.この様な新しい開発スタイルにも対応できる人材を育成するため,東京工科大学と日本工学院が合同で行った,短期開発による開発スキルとコミュニケーション能力の向上を重視した新しいスタイルの教育カリキュラムについて,その結果をアンケートと評価データを元に報告を行う.
著者
松島 立弥 渡辺 大地
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第270回研究会講演予稿 (ISSN:02853957)
巻号頁・発行日
pp.63-66, 2014 (Released:2020-06-01)

ドット絵はコンピュータグラフィックスの描写表現の 1 つである.低解像度でもキャラクターや物体の概要を視認可能な画像を指し,古い手法ながら近年でもビデオゲームなどに用いられている.タイルパターングラデーションは,独特のドット配置によって,少ない色数でグラデーションを再現する手法である.近年でも質感再現に用いられるなど,根強い人気から活用される機会も多い.しかし,作業の綿密さや困難さゆえに,制作には多大な労力と時間がかかってしまう.本研究では,ドット絵におけるタイルパターンの表現に着目し,自動でグラデーションを施す手法を提案する.
著者
高 峰 阿部 雅樹 渡辺 大地
出版者
一般社団法人 日本デジタルゲーム学会
雑誌
日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会 予稿集 2023夏季研究発表大会 (ISSN:27584801)
巻号頁・発行日
pp.35-38, 2023 (Released:2023-10-28)
参考文献数
4

人肌のリアルタイムな描画は、物体内部で生じる表面下散乱現象のシミュレーションに膨大な計算が必要となるため,困難であると言える.レンダリング効率を上げるために、多くのゲームでは肌の透過光効果を無視している. Pre-Integrated Skin Shading の方法に基づいて、より正確な人肌透過光表現を実現する手法を提案する.光と法線のなす角度と皮膚の厚さをパラメータとし、深度マップに基づく事前計算による透過光効果を LUT で保存してルックアップテーブルの色値を読み取り、そのまま照明計算の透過輝度として使用できるため、計算速度を向上することができる.
著者
阿部 雅樹 渡辺 大地
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.93-101, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2

近年、アクションや格闘を主題としたアニメーションやビデオゲーム等の創作コンテンツ上では、エネルギーの塊が強く発光、形状変形を伴いながら特定の目標地点へ移動するといった現象を攻撃方法の1つや特殊効果として用いる事が多い。本研究は、3次元のビデオゲーム等のインタラクティブな創作コンテンツ内における新たなエネルギー波表現方法を提案する。本手法はボリュームレンダリング手法の1つであるレイキャスティング法と基本的な概念は同様である。線積分式となる関数を用いてエネルギー波の3次元分布状況を規定することで、ボリュームデータ生成処理を省くことを可能とした。更に積分計算にGPGPUを使用することで、描画処理速度の向上を図った。このことにより、エネルギー波の光の強さを正確に表現しつつ、エネルギー波の形状変形をリアルタイムで実現した。
著者
中澤 桂介 阿部 雅樹 渡辺 大地 三上 浩司
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2017-CG-168, no.13, pp.1-6, 2017-11-01

「カタンの開拓者たち」 (以下 「カタン」 ) はボードゲームの一種である.カタンは,プレイヤー同士の交渉による資源交換が重要な意味を持ち,この際の駆け引きが大きな魅力と言える.現状でカタンのコンピュータ上での実装はいくつかあるが,これらの AI では交渉についてあまり考慮されておらず,人間同士の対戦に比べて面白さが損なわれている.これは,AI 側がプレイヤーの状況についての認識把握が不十分であることと,それを活かした駆け引きが行われないことが一因である.本研究は,既存の AI の特性に対し,AI 側がプレイヤーの状況を分析した上で,真偽を交えた情報を伝える機能を持たせるという手法を提案する.これにより,プレイヤーの認識を AI に有利なように誘導した上で交渉を行う事で,AI が既存実装よりも人間同士の対戦に近い行動を取る事を実現した.
著者
渡辺 大地
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.55-68, 2000-05-15 (Released:2009-05-29)

In this paper, I will consider the comparison of a proposition to a set of coordinates fixing a point in space in early Wittgenstein's thought. Pears pointed out that there is a tension between this comparison (which leads to holism) and separatist element in the relation between reality and sense. But I think this tension is illusion and a right interpretation of Wittgenstein's view of language will vanish this illusion. For this purpose, I will illuminate the comparison of a proposition to a set of coordinates and the motivation of this comparison.
著者
渡辺 大地
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.55, pp.280-292,35, 2004-04-01 (Released:2009-07-23)

In this paper, I want to discuss the so-called "Autonomy of Logic" (Logic must take care of itself)" in Wittgenstein's Tractatus Logico-Philosophicus. Wittgenstein says that this remark is a very deep and fundamental insight, and a right interpretation of this insight will clarify what Wittgenstein means by "Logic" in the Tractatus. However, the remark's implications are very obscure, so some clarifications are necessary.The remark involves two points : in the whole theory of things, properties are superfluous, and we cannot make mistakes in logic. So I discuss these points and then interpret some remarks about the "Autonomy of Logic".Firstly, I discuss Peter Hacker's interpretation of these remarks and related points. I indicate some problems of his interpretation are due to his neglect of the view of nonsense in the Tractatus and I consider this problem on the basis of a new approach to Wittgenstein's Tractatus (especially the view of Cora Diamond and that of James Conant) and I then present an interpretation of the Autonomy of Logic.Secondly I deal with "the theory of correct symbolism" in Wittgenstein's early remarks, and clarify what he means by "Logic".
著者
茨田 将史 渡辺 大地 柿本 正憲
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2015-CG-161, no.23, pp.1-6, 2015-10-30

近年,漫画本の販売数は上昇傾向にある.図書館で書籍整理を行うロボットの開発が盛んに行われてきたが,図書館等の限定した環境下でしか行えず,背表紙に認識用のマーカやバーコードを貼る等の手間がかかる.また漫画本の背表紙は決まったフォントがなく,OCR 等での認識は難しい.本研究では SIFT 等の画像認識を用いて漫画本の背表紙を認識する.これにより認識用のマーカやバーコードを後付する必要をなくし,書籍整理機への応用を念頭に置いた認識を行うことでユーザの手間を削減した.
著者
平野 実花 竹内 亮太 渡辺 大地
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.16, pp.119-120, 2012-03-09

映画「アバター」等を始めとする立体視コンテンツの活性化により着目をあびるようになった立体視技術であるが、現状で様々な問題が指摘されている。両眼視差を利用した方法が主流であるが一部の体験者では視機能に異常が存在しないのに立体視を行うことが出来ないことが確認されている。その原因はコンテンツ自体にあるものか、個人の立体視に関する能力によって発生するものなのか解明はされていない。今回は個人の立体視に関する能力や体験者別に異なる要素に着目する。個人差を吸収するにあたって、立体感を強めることや弱めること、視差や再生方法の変更等の解決方法が必要になるのではないのかと仮定した。本研究では立体視の画像にぼかし加工を加え、両眼の視力との関係性を調査した。その上で補正の必要性とその指針について提案する。
著者
松島 立弥 渡辺 大地
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.17, pp.31-34, 2013-03-08

ドット絵はコンピュータグラフィックスの描写表現の1つである.低解像度でもキャラクターや物体の概要を視認可能な画像を指し,古い手法ながら近年でもビデオゲームなどに用いられている.ドット絵はキャラクターや物体のアニメーション表現を行うことが多いが,アニメーション表現を行うには多くの画像の制作が必要となる.そのため,近年では3Dモデルをプリレンダリングし,ドット絵の下書きとして用いる事例が増えてきた.しかし,低解像度のドット絵制作において,既存の手法では出力結果への修正が必要になる.本研究ではドット絵の輪郭線に着目し,3Dモデルを用いてドット絵制作に適した画像を生成する手法を提案する.
著者
渡辺 大地 千代倉 弘明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.1344-1352, 2000-05-20
被引用文献数
6

近年, インターネットの普及と3次元描画ライブラリの機能向上に伴って, 三角形メッシュに対する最適化の研究が盛んである.しかし, 多くの最適化の手法では形状がもつ意匠的な特徴が失われるという欠点をもつ.本論文では, 数種類のパラメータを与えることによって, 事前に三角形メッシュのもつ特徴稜線を自動的に抽出する手法を提案する.本手法を用いることにより, 最適化の形状特徴を表す稜線をできるだけ反映させることが可能となる.次に, パラメータ変更による再計算が非常に高速になるような設計, 三角形メッシュの位相分布が規則的なものとそうでないものの双方に対応などの特徴を述べる.最後に, いくつかのデータで本手法の有用性を示す.