著者
松本 奈緒 MATSUMOTO Naho
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 Bulletin of the Center for Educational Research and Practice, Faculty of Education and Human Studies, Akita University (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
no.39, pp.37-46, 2017

本研究は,大学の保健体育教員養成課程における創作ダンスの授業に対する習者の認知をふきだし法による自由記述の分析によって明らかにしたものである.対象者は大学生であり,保健体育教員免許取得希望者11名であった.本研究により,以下の点が明らかとなった.学習者は各時間に学習したテーマや課題を明確に認知した.学習者が創作ダンスの単元の中で楽しい,面白いと肯定的に捉えたのは,創作ダンスのダンスそのもの,色々動けること,表現すること,自由に考えられること,何を表現しているか分かることであった.一方で難しい点として捉えたのは,いくつかの課題の実施(対比の動き,集まるとび散る),イメージすること,テーマを伝えること,大人数の動きの考慮,大げさやデフォルメ,感情表現であった.また,創作ダンスにおける鑑賞については,学習者は他の班の発表を鑑賞することにより,テーマの表現や各グループの表現の違いや構成の違いに気づくことができた.学習者は単元の学習が進むにつれて,前半ではどのようにテーマを表現するのか,様々な動きの工夫へ学習者の学習が焦点づけられていたが,後半では表現方法の多様性や効果的な指導へとより高次の焦点へと学習が移行した.This study analyzed that university student's conception of creative dance units in University PETE curriculum through balloon method free description analysis. Objects were 11 university students who would like to have physical education teacher license. This study suggest that: In every lesson students recognized clear theme and task they belong to. Students recognized positive, fun, interested that creative dance itself, variety moving, expression, free thinking, understanding what it expressed. Otherwise, students recognized difficult that some task accomplishment, image something from task or theme, transmission of theme, deformation, feeling expression. About creative dance appreciation, students recognized appropriate theme expression through movement, expression difference, structure difference of dance piece.As lesson progression students conception developed from how express theme and movement invention to variety expressional methods and effective expressional technique.
著者
外池 智 TONOIKE Satoshi
出版者
秋田大学教育文化学部附属教職高度化センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 Bulletin of the Center for Educational Research and Practice, Faculty of Education and Human Studies, Akita University (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
no.42, pp.1-13, 2020

「本研究の目的」に代えて,以下本稿の概要を述べる.本研究は,2009(平成21)年度から推進している戦争遺跡に関する研究1,2012(平成24)年度から推進している戦争体験の「語り」の継承に関する研究2,2015(平成27)年度から取り組んでいる継承的アーカイブを活用した「次世代の平和教育」の展開に関する研究3の継続研究であり,さらに2018(平成30)年度から取り組んでいる地域の継承的アーカイブと学習材としての活用に関する研究4の一端を発表するものである. 戦後74年の歳月が経ち,戦争体験を語れる終戦時の年齢を仮に10歳とすれば,もはやその人口は全人口の5 %以下となった.こうした状況の中,あの貴重な体験や記憶を残し,継承していこうとする試みが続いている.また教育現場においても,直接的な戦争体験の「語り」ではなく,そうした継承的アーカイブを活用したいわば「次世代の平和教育5」と呼ぶべき実践が次々と展開されている. こうした状況を踏まえ,本稿では,戦争遺跡の学習材としての活用について,特に今回は館山市の事例を取り上げたい.