- 著者
-
板橋 クリストファーマリオ
- 出版者
- 関東学院大学経済学部教養学会
- 雑誌
- 自然・人間・社会 : 関東学院大学経済学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
- 巻号頁・発行日
- no.59, pp.29-37, 2015-07
現在われわれが知るスポーツの中でテニスは最も試合時間が長い競技の1 つであると言える。時間短縮の試合方式は肉体的、精神的負担を軽減するために選手からも望まれているが、一方で短期決戦によって人気のある上位ランキング選手が大会の前半で敗退する番狂わせの増加を懸念する声もある。そこで、本研究では過去の3 セットマッチと5 セットマッチにおける上位シード選手の試合結果から、「3 セットマッチでは番狂わせが多いのか」を検証し、グランドスラムの男子シングルスを5 セットマッチで行う必要性について検討することを目的とした。研究対象としたのは2008 年~2014 年に行われたグランドスラムとATP ワールドツアー・マスターズ1000 においてNo.1~No.4 シードを与えられた選手の試合結果であった。記録方法と分析方法はATP World Tour のホームページ上にある「Results Archive」から、対象とした大会の上位シード選手4 名の試合結果を記録した。分析は記録したデータをもとに、ベスト16 以前とベスト8 以前の敗退率を算出した。なお、検定にはX二乗検定を用いて、統計的有意水準は危険率5%未満とした。結果について、ベスト16 以前では3 セットマッチでも5 セットマッチでも上位シード選手の敗退率に大きな差は無いが、ベスト8 を決める試合では5セットマッチの方が上位シード選手の敗退率は低くなることが明らかになった。このことから、グランドスラムの男子シングルスを1~3 回戦は3 セットマッチの試合方式で行っても上位シード選手の早期敗退率に大きな差は生じないことが示唆された。