著者
細谷 実
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然人間社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-25,

本稿では、絵画や写真などの視覚的表象が何らかの弊害をもたらす条件およびその弊害の査定について考察する。表現は、一方で、あれこれの弊害をもたらすとされ、批判や規制の対象になっている。他方で、表現の自由は、近代社会における大切な原理として尊重されている。J.S.ミルを代表とするリベラリズムの考え方では、「言論の自由市場」での批評や非難はともかく、法的禁止という強い措置をおこなうには他者危害の存在が要件となる。他者危害として、自然・社会環境の破壊のような社会への危害を主張する論者もいるが、本稿では、個人への、しかも心理的な危害に焦点化して論じる。また、特定個人を名宛人にする加害には名誉棄損や侮辱での刑罰があるが、「女性」や「韓国人」といった一般名詞あるいは広範囲の集合への加害については、数的考慮によって問題視しないのが、従来の司法判断である。この点についても批判的考察をおこない、視覚的表象による個人に対する危害とそれへの対応について論じる。
著者
細谷 実 海妻 径子 千田 有紀 高橋 幸 Lee Rosa
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

韓国では社会的地位を得た女性と草の根フェミニズムとの連携がうまくいかず、女性登用が保守主義・新自由主義への対抗となっていない。新自由主義の進展は、性役割やミソジニーを強化する一方、女性就業者を増加させ、就業機会をめぐる軍事主義と女性との新たな結びつき(ROTCなど)を生み出していた。軍事主義的保守団体の女性運動家へのインタビューにおいては、民族主義以上に反共主義が強調されていて、興味深い。他方英国では、プア・ホワイトとも結びつくと言われる排外主義勢力と、エスタブリッシュ層を基盤とする新保守主義勢力とは、必ずしも一致していないが、労働党勢力と多元主義的価値観支持層との結びつきは強固である。

1 0 0 0 暴力と戦争

著者
加藤千香子 細谷実編著
出版者
明石書店
巻号頁・発行日
2009
著者
細谷 実
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 : 関東学院大学経済学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.57, pp.1-25, 2014-07

本稿では、絵画や写真などの視覚的表象が何らかの弊害をもたらす条件およびその弊害の査定について考察する。表現は、一方で、あれこれの弊害をもたらすとされ、批判や規制の対象になっている。他方で、表現の自由は、近代社会における大切な原理として尊重されている。J.S.ミルを代表とするリベラリズムの考え方では、「言論の自由市場」での批評や非難はともかく、法的禁止という強い措置をおこなうには他者危害の存在が要件となる。他者危害として、自然・社会環境の破壊のような社会への危害を主張する論者もいるが、本稿では、個人への、しかも心理的な危害に焦点化して論じる。また、特定個人を名宛人にする加害には名誉棄損や侮辱での刑罰があるが、「女性」や「韓国人」といった一般名詞あるいは広範囲の集合への加害については、数的考慮によって問題視しないのが、従来の司法判断である。この点についても批判的考察をおこない、視覚的表象による個人に対する危害とそれへの対応について論じる。
著者
田村 公江 鍋島 直樹 柿本 佳美 細谷 実 川畑 智子 荒谷 大輔
出版者
龍谷大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、性をめぐる学術的研究を踏まえて現代の日本社会における望ましい性のあり方を検討すること、そして市民を読者対象とする著書を出版することを目的としている。今年度は最終年度にあたるので、青年の性意識調査を手がけるグループAを理論的考察を行うグループBが補佐する形で調査データの分析を行い、調査に協力してくれた青年層の人々に役に立つ情報発信の準備を行った。なおグループAの連携研究者として竹中健(札幌市立大非常勤講師、社会学)が加わった。詳細は以下のとおり。1.インタビューデータの整理合計29本(1本あたり90〜120分)のインタビューデータを、インタビュー協力者のプライバシー保護、及び、公開意志の尊重に留意して整理し、『青年の性意識/インタビュー決定稿』として仕上げた。これは、(1)固有名詞を伏せるマスキングを行い、(2)それに対するインタビュー協力者の本人チェックを要請し、さらに、(3)本人チェックに基づいてデータを書き換えるという3重の作業を経て獲得されたものである。このような厳重な作業を経て獲得されたデータは非常に貴重なものであり、性という領域についてはこれまでに殆ど例がないものである。このデータは『青年の性意識/インタビュー決定稿』というタイトルを付けて保存され、今後の学術的研究、及び出版のために役立てられる。2.研究会年度内に3回の研究会を実施して、アンケート及びインタビューの、(1)データ整理の進め方、(2)考察に関する編集方針について協議した。日程は、1回目が9月1日、2日、2回目が12月18日、3回目が2月16日である。3.出版企画インタビューに基づく図書『インタビュー「大学生の性意識」』(仮題)の出版企画を、出版社に打診しつつ作成した。第一部では10人前後のインタビュー協力者を選んで比較的詳しく紹介し、第二部では、論文及びコラム形式で青年層が抱える諸問題を考察するという2部構成とした。第二部の考察に際してはアンケートデータも取り入れる。この図書は、青年層の多様な現状を伝えると共に、青年層が抱えている困難を抜き出して解決策を提案するものとなるはずである。年度末に執筆分担を決め、執筆を開始した。
著者
細谷 実 加藤 千香子 小玉 亮子 熊田 一雄
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究が4年間に予定していた計画と、それぞれにおいて得られた成果は以下の通りである。(1)近現代日本の言説空間においてどのような男性性がたちあらわれ、どのような社会的事象を生みだしたのか、またそれぞれの男性性がどのような布置の中で競合・協働してきたのか、という全体像のマッピング:新聞雑誌等の文献大量調査については、1930年代『東京朝日新聞』『東京日日新聞』等にあらわれた「モダン・ボーイ」と「三勇士」言説の分析、明治期『愛国婦人』における兵士言説分析、中学校同人誌r初雁』における「青年」言説分析などをおこなった。一方で教科書や育児書などの分析は完全に終了せず、今後の課題となった。したがって、競合・協働の全体像のマッピングの完成までにはまだ必要な作業が残されているが、研究協力者等よりアメリカやドイツの男性史の知見について専門的知識の提供を得たことで、全体像についての仮説提示までにはいたることができた。(2)男性性の歴史的構築におけるキーパーソン達についての人物研究を行い、個別の思想についてのより具体的で詳細な考察を深め、かっそれを(1)で明らかにした近現代日本における男性性問の競合・協働の全体像の中に位置付ける:大町桂月、出口王仁三郎、山田わか、石川啄木、福沢諭吉、新渡戸稲造、中山みきなど、さまざまな人物研究を行なった。その結果、国民軍形成過程における「武士形象」と「男」であることとの複雑な関係性など、新たな知見を1獲得した。(3)(1)(2)の成果を公刊し、また成果に関するシンポジウムを開催する:2003年度に年次報告書『モダン・マスキュリニティーズ2003年』を刊行・頒布したことで、男性史への関心をひろく喚起することができた。シンポジウムについては、ジェンダー史学会のシンポジウム参加などを行なったものの、本研究プロジェクト単独での開催には至らず、今後の課題となった。