著者
岡本 健
出版者
北海道大学観光学高等研究センター
雑誌
観光創造研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-13, 2008-07-14

本報告の目的は、アニメ聖地巡礼者の行動や態度を把握する方法として、アニメ聖地巡礼ノート分析を提案し、その有効性と課題を抽出し、報告することである。具体的には、埼玉県鷲宮町にある大酉茶屋に設置されたアニメ聖地巡礼ノートを分析の対象とし、その有効性と課題を抽出した。埼玉県鷲宮町は、アニメーション作品「らき☆すた」によってアニメ聖地として価値付けをされ、鷲宮神社を中心にアニメ聖地巡礼が活発におこなわれるようになった地域である。大酉茶屋は、鷲宮神社に隣接する飲食店兼休憩所であり、アニメ聖地巡礼者が多く訪れる場所である。
著者
岡本 健
出版者
北海道大学観光学高等研究センター = Center for Advanced Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
観光創造研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-13, 2008-07-14
被引用文献数
2

本報告の目的は、アニメ聖地巡礼者の行動や態度を把握する方法として、アニメ聖地巡礼ノート分析を提案し、その有効性と課題を抽出し、報告することである。具体的には、埼玉県鷲宮町にある大酉茶屋に設置されたアニメ聖地巡礼ノートを分析の対象とし、その有効性と課題を抽出した。埼玉県鷲宮町は、アニメーション作品「らき☆すた」によってアニメ聖地として価値付けをされ、鷲宮神社を中心にアニメ聖地巡礼が活発におこなわれるようになった地域である。大酉茶屋は、鷲宮神社に隣接する飲食店兼休憩所であり、アニメ聖地巡礼者が多く訪れる場所である。This paper has two purposes. One is to discuss about a method for investigation of pilgrims' behavior in "Sacred Place for Anime Fans". Another is to report the result of analyzing thepilgrimage note written by Anime Fans who visited Washimiya-cho in Saitama Pref. (This place is one of the most popular Sacred Places for Anime Fans in Japan). This report also suggests that "Pilgrimage Note Analysis" could be considered as the analytical method for understanding pilgrims' behavior, and indicates validity of this method.
著者
森重 昌之
出版者
北海道大学観光学高等研究センター
雑誌
観光創造研究
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-20, 2009-05-15

近年、自律的観光や着地型観光といった「地域主導型観光」が地域づくりのツールとして期待されているが、それがどのように地域づくりに貢献できるかについては具体的に明らかにされていない。例えば財政再建中の北海道夕張市も、自治体主導で観光開発を進めてきたという点では、「地域主導型観光」といえる。そこで本研究では、夕張市の地域運営や観光開発の経緯を整理した上で、地域主導型観光の視点から、夕張市の観光政策の評価を試みた。その結果、夕張市の観光政策は(1)観光を通じて得られた利益が地域資源の価値向上のために再投資されなかった、(2)地域外関係者が観光開発を主導し、地域住民の主体性が形成されなかったことが明らかになった。その上で、地域コミュニティの活性化に向けた地域主導型観光の役割を考察し、地域資源の活用や地域外関係者のかかわりが有用であることを示すとともに、夕張市の地域再生に向けて、地域コミュニティの主体性や地域外関係者のかかわり方を示すビジョンが必要であることを指摘した。
著者
西川 克之
出版者
北海道大学観光学高等研究センター = Center for Advanced Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
観光創造研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-13, 2009-11-20

以下の小論においては、主に18 世紀後半から19 世紀前半にかけてのイギリス社会における社会統制のある断面を考察の対象とする。この時期、イギリスは社会や産業の近代化を達成することになるが、そのプロセスの中で労働の様態も根本的に変化し大規模化・規律化されていく。その結果、労働と余暇は時間的にも空間的にも分節化され、労働者にも余暇時間が拡大していく。一方でまたこの時代には、社会的にも文化的にも影響力を強め始めた中流市民層によって、祝祭性を伴うことも多かった民衆娯楽や伝統行事のいくつかが「野蛮」「非文明的」であるとして抑圧され、それに替わって「合理的な」レクリエーションが盛んに推奨されるようになる。大衆の余暇時間の過ごし方に対するこうした抑圧や誘導は、人道主義的な慈善に由来するように見えながら、暴動を起こすなどして社会秩序を乱しかねない労働者を馴致しようという意図に基づいた社会統制であったと考えられる。 This paper discusses how a form of social control was exercised in England in the late 18th and early 19th centuries. In the process of social and industrial modernization, the mode of work was also fundamentally transformed in the way work was more and more concentrated and disciplined. As a result, work and leisure were segmented both in temporal and spatial terms and leisure was extended to workers. In this period, meanwhile, some popular entertainments and traditional events which had often unleashed festivity were suppressed as "savage" and "uncivilized" and instead "rational" recreation was strongly recommended by the bourgeois middle class gaining more social and cultural influence. This regulation and induction of how spare time should be used seems, as alleged, to derive from humanitarian compassion but in fact can be regarded as a form of social control based on the intention to domesticate the working class who were feared to disturb the social order by uprisings.
著者
臼井 冬彦
出版者
北海道大学観光学高等研究センター
雑誌
観光創造研究
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-18, 2008-10-31

1936年のILO52号条約と同年のフランスのバカンス法の制定による週40時間労働と併せて、法定制度として主要先進国で発展してきた有給休暇制度であるが、日本における法定有給休暇制度は主要な休暇制度先進国との比較で大きく見劣りするものとなっている。付与される日数が見劣りするだけでなく、実際に取得されている日数が50%を割る実態を比較すれば、さらにその差は大きくなってしまっている。さらに、未取得の有給休暇が1 年後には時効で消滅してしまうこと、未取得分の有給休暇の買上げ制度の問題が、労働問題としても経営問題としても取り上げられることはなかった。観光立国が叫ばれる中、観光を含めたレジャー活動に及ぼす休暇の影響の観点から、有給休暇制度の制度そのものの考察ではなく、グローバル化が進む中で行われている企業会計のコンバージェンスの視点から日本の有給休暇の未取得分の現状を考察し、主要休暇制度先進国並みに取得率を上げる実質的な方法として労働債務として財務諸表上に反映させるともに、その表裏の関係としての買上げ制度の実施について提案を行う。