著者
渡嘉敷 恭子 kyoko Tokashiki
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in Teaching Japanese as a Foreign Language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.47-60, 2006

多くの日本語教師が文法書やテキストの文法説明に違和感を持った経験があるのではないだろうか。実際に日本語教育の文法説明と日本語の母語話者の認識との間にずれがあることも多い。本稿ではその一例として自動詞使役の被使役者を示す助詞の選択に焦点を当てた。(1) 文法書、テキストでの文法説明について調査してみると、「を」をとるとしか説明していないもの、「を」または「に」をとり、その意味の違いについて説明がないもの、自動詞使役では「を」または「に」をとり、「を」の場合は被使役者の意思に関わらず被使役者がその行為を行い、「に」の場合は被使役者の意思が尊重されて行為が行われるという解釈のものと、大きく分けて三種類の説明があることがわかった。日本語の母語話者を対象に行ったアンケート調査の結果、「に」と「を」の持つ「強制」「許容」のニュアンスの違いについて認識し、使い分けている日本語母語話者は少なく、助詞が重複しないように感覚的に助詞を選択していることがわかった。
著者
福池 秋水 Akimi Fukuike
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in Teaching Japanese as a Foreign Language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-8, 2018-03-30

本研究は、首都圏方言の特徴の一つである「ラ行の撥音化」について整理するとともに、日本語教科書においてどのように扱われているかを調査したものである。ラ行の撥音化とは、ロを除くラ行音が、主にナ行、ダ行、ジャ行の前で、撥音「ン」に変わる現象である。首都圏方言において広く起きていることが先行研究から確認されている。日本語教材におけるラ行の撥音化の扱いを調査した結果、総合日本語教科書では、初級から中上級までほとんど取り上げられていないことがわかった。また、会話、発音教材ではスクリプトに積極的に取り上げる教材もあるが、体系的な解説が付されているものは少ないことも明らかになった。
著者
福池 秋水 Akimi Fukuike
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in Teaching Japanese as a Foreign Language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-8, 2017

本研究は、首都圏方言の特徴の一つである「ラ行の撥音化」について整理するとともに、日本語教科書においてどのように扱われているかを調査したものである。ラ行の撥音化とは、ロを除くラ行音が、主にナ行、ダ行、ジャ行の前で、撥音「ン」に変わる現象である。首都圏方言において広く起きていることが先行研究から確認されている。日本語教材におけるラ行の撥音化の扱いを調査した結果、総合日本語教科書では、初級から中上級までほとんど取り上げられていないことがわかった。また、会話、発音教材ではスクリプトに積極的に取り上げる教材もあるが、体系的な解説が付されているものは少ないことも明らかになった。
著者
平田 裕
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in Teaching Japanese as a Foreign Language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-28, 2007

本年夏期に関西外国語大学の中級レベル4(で使用している教科書の改訂作業を行った。これを機に、教科書作成の様々なプロセスについて考察を試みた。トピックは、ノウハウの蓄積について、役割分担とプロジェクト管理、学習プロセスにおける教科書の役割、音声教材、中級学習者の課題、教科書のまとめ方について、などである。実際に教科書を作成する機会は多くないかもしれないが、作成ノウハウを考えていくことは、様々な教科書を評価する際に有用な視点になったり、自分のクラス運営をどうするか考える際に役立つこともあるのではないだろうか。
著者
宮内 俊慈 Shunji Miyauchi
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in teaching Japanese as a foreign language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
no.25, pp.25-54, 2015

関西外国語大学留学生別科の中級後期のクラスにおいては、2008 年度より本校教員の髙屋敷(2012)により開発されたモジュール型教科書を使ってきた。当教科書は、ドラマを対象としたユニット7 を除き全6 ユニットから成り立っているが、2014 年の夏にユニット1 の改訂を行い、秋学期のユニット4 まで終了した中間試験の時点で学生の評価アンケートを実施し、前回の紀要にその結果を報告した。2015 年の夏にはユニット6 の改訂を行い、その秋から試用を始めた。本稿は、前年の報告に引き続き、今回変更されたユニット6 を含め、この中級後期の教科書に対する学生間の評価を調査し、どのような問題点やニーズがあるのかを確かめるアンケートを実施したので、結果を報告するものである。
著者
田嶋 香織 Kaori Tajima
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in Teaching Japanese as a Foreign Language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.193-205, 2006

日本で生活しているとあらゆる場面でオノマトペ(擬音語、擬態語)表現と出会う。オノマトペ(擬音語、擬態語)表現は、他の語彙とは違い、外から受ける刺激を我々が感じ取った通りに文字にしているかのようで、学ばずとも自然に習得できていると思われがちである。実際にはその用法には様々な法則があり、日本語学習者にとって自然に習得できる語彙群ではない。この感覚の語彙群オノマトペについて考察していく。
著者
高屋敷 真人 宮内 俊慈 Masahito Takayashiki Shunji Miyauchi
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in teaching Japanese as a foreign language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
no.25, pp.55-68, 2015

本研究は、2014 年度の関西外国語大学国際文化研究所(以下IRI)のプロジェクト研究助成を受け、IRI 共同プロジェクトとして認定され、以後、継続して行われているものである。本プロジェクトの主旨は、関西外国語大学留学生別科の日本語会話レベル6(中級後期)の教科書開発プロジェクトとして中級会話用の「モジュール型教材」を作成し2015 年度秋学期(8 月~12 月)と2016 年春学期(1 月~5月)での試用を目指したものである。昨年度は、アンケート調査や授業評価の結果を分析し第一課(ユニット1)と第六課(ユニット6)の本文の改訂を行い、大きな成果を生んだ。
著者
平田 裕
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in Teaching Japanese as a Foreign Language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.47-66, 2008

昨年(2007)夏期に関西外国語大学の中級レベル4で使用している教科書の改訂作業を行い、2007年秋学期と2008年春学期の二学期間使用した。本学の日本語プログラムで行われている正規の授業評価にも教材についての質問はあるのだが、さらに詳しく見るために任意のアンケート調査を行い、改訂版の教科書評価の一つとした。このアンケートの結果を見ると、改訂後の教科書はいい評価を得ていると言える。学生からのコメントと実際に使用した教員からのコメントも合わせて、今後の課題を考えてみる。
著者
渡嘉敷 恭子 Kyoko Tokashiki
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in Teaching Japanese as a Foreign Language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.77-93, 2016

「口頭テスト」はプレースメントの際に行われるレベル分けのための熟達度テスト(proficiency test)とその学生がある期間にどのぐらいレベルアップしたかを測る到達度テスト(achievement test)に大きく分けられる。前者は、ACTFLが開発したOPIに代表される特定のプログラムや使用したテキストに準じていない能力を測る汎用性が高いものである。一方、後者はある特定のクラスまたはプログラムで使用され、主に限られた範囲内の会話力を評価するために使われる。筆者は2017年春学期に総合日本語3のクラスを担当し、中間試験の際に口頭テストを行った。本稿はその口頭テストの実践報告である。
著者
本橋 美樹 Miki Motohashi
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 = Papers in Teaching Japanese as a Foreign Language (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.95-108, 2013

「大阪」を「おさか」とするような拍レベルでの表記の誤用を考察した先行研究は非常に限られているが、学習者の知覚と生成の関係を知る上で、表記も発話と同じように考慮すべき重要なデータではないだろうか。本研究は表記データと聴取データを同一被験者から取り、誤用パターンの関連を調べた。その結果、学習者は表記の誤用パターンと同じように、単語を聞き取っていることが明らかになった。つまりこの二つ技能は強く関連していると言える。