著者
吉井 二郎 藤本 浩平 山口 達也
出版者
高知県立森林技術センター
雑誌
高知県立森林技術センター研究報告 (ISSN:13486004)
巻号頁・発行日
no.30, pp.45-54, 2005-03

高知県東部のスギ・ヒノキ高齢林の立地環境、林分構造、林床植生の調査を行った。立地環境は、土壌型でスギ・ヒノキともBD型ないしBD(d)型がBB型やrBA型に比べて成長が良い傾向がみられた。林分構造は、スギ・ヒノキとも胸高直径・樹高階分布にバラツキがみられ、特にスギの胸高直径のバラツキが非常に大きかった。また、スギでは後生枝、ヒノキでは枯れ枝が付いているものが多くみられた。林床植生は、高齢林と壮齢林では「種の豊富さ」に差はみられないが、「種多様度指数」「均等度指数」で違いがみられ、高齢林は壮齢林に比べて豊かな植生を構成していた。
著者
深田 英久 徳久 潔 中西 麻美
出版者
高知県立森林技術センター
雑誌
高知県立森林技術センター研究報告 (ISSN:13486004)
巻号頁・発行日
no.39, pp.83-110, 2015-03

仁淀川上流域の標高640~910mの北向き斜面にあるスギ・ヒノキ人工林に調査プロットを設置し、間伐後概ね5年間の林分変化に伴う下層植生への影響を調査した。間伐前のRyはスギが0.82~1.00、ヒノキが0.69~0.96で、相対的にスギのRyが高かったが下層植生タイプの貧植生型を示す割合はスギが50%、ヒノキが100%であった。スギは材積間伐率が20%までの間伐によって貧植生および落葉木本型からより土壌保全効果の高い草本・地表植物型に移行したが、ヒノキは材積間伐率が20%以上必要であった。また材積間伐率が41%および45%のヒノキ間伐区では高木性広葉樹の樹高成長および植被率の増加がみられた。高知県内での間伐効果の持続期間を10年とした場合の材積間伐率はスギが15%程度、ヒノキが25%程度である。また、個体サイズのバラツキが大きい林分では下層間伐となることが多く、材積間伐率が本数比に比べて大きく低下する。現在、高知県の森林整備では概ね本数間伐率30%以上の間伐率とされているが、水土保全機能の増進または維持を目的とした場合は、ヒノキ林ではスギに比べて間伐強度を高く設定する必要性が考えられた。
著者
藤本 浩平 市原 孝志 伊東 祐道
出版者
高知県立森林技術センター
雑誌
高知県立森林技術センター研究報告 (ISSN:13486004)
巻号頁・発行日
no.30, pp.55-67, 2005-03

造林用針葉樹および有用広葉樹を対象としてバイオテクノロジーを用いた保存と増殖技術について検討を行った。スギでは、低温(10℃)で培養することで1継代期間をのばす事ができた。ヒノキの培養法を検討したところ、難易度にクローン間差がみられた。ミツマタの長期培養を検討したところ、継代培養による長期保存が可能であった。長期の継代培養された培養物であっても、発根率には著しい低下はみられなかった。ケヤキの初代培養法を検討したところ、シュート発生率にクローン間差がみられた。ミズメの組織培養法を検討したところ、増殖が可能で発根および順化も比較的容易であったが、成長にクローン間差がみられた。また、継代培養による長期保存が可能であった。組織培養が容易な樹種と困難な樹種があり、クローン間で培養の難易度に差がみられるが、ミツマ夕、ミズメでは継代培養による長期保存や、培養物からの幼植物体の再生が可能であった。