著者
小川 剛史 白井 博章 柳沢 豊 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.96, no.390, pp.55-62, 1996-11-22
被引用文献数
5

近年, 計算機上に仮想空間を構築する技術を用いることで, リアリティの高いヒューマンコミュニケーションを実現しようとする研究が盛んに行なわれている. このような中で, 筆者らの研究グループにおいては, 計算機上に構築した仮想空間を現実空間と一対一に対応付け, 計算機のユーザが仮想空間内で行動することで, そのユーザがあたかも現実空間内で行動しているかのように感じさせることのできる, 「透明人間」と呼ぶ環境を提案している. 本稿では, この「透明人間」環境を実現するためのシステムの設計について述べる. この「透明人間」環境においては, 机上の計算機内に表示される仮想空間内で行動するユーザと, 移動可能な携帯型端末をもつユーザが, それらの端末を通して柔軟にコミュニケーションをとることが可能となる.
著者
藤枝 俊輔 石原 知洋 下見 淳一郎 小川 剛史 中村 誠
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.75-82, 2011-11-24

本学では,キャンパスネットワークを学内の部局が分割運用している。このため、ネットワークサービスが部局内に閉じており,学内者のユーザ情報は複数のデータベースに分散管理されている.このような環境で全学共通の無線 LAN サービスを実現するため,多様な無線 LAN システムと複数のユーザデータベースを連携させる運用方式を検討し,実験サービス ”utroam” として学内に広く実験展開している.本稿では,本方式の仕組みと利用動向に関する評価を述べる.
著者
中村 友宣 小川 剛史 清川 清 竹村 治雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.554, pp.49-54, 2008-03-15
被引用文献数
4

本稿では,移動中の連続した学習を支援するウェアラブル学習システムにおける鉄道車内混雑度推定を用いた利用者コンテキストの認識手法にっいて述べる.本研究では,利用者の動作(「座位」,「立位」,「歩く」,「走る」,「自転車」),立位時の場所(「電車の中」,「駅のホーム」,「遮断機・信号機の前」),及び電車内の混雑度(「空いている」,「混んでいる」)を認識するために,両足大腿部の加速度,天井までの距離及び大気中の二酸化炭素濃度を計測する.前処理として加速度データのパワースペクトル及び距離データの中央値を算出後,識別器としてサポートベクターマシンを用いて各動作・場所・混雑度の確率を推定する.更に次状態への遷移確率に遷移の平易度を考慮してロバストな認識を実現する.実験にて通学行程全体の認識率を85.8%の精度で認識できており,「回答できない設問が出題される」という学習に支障をきたす誤認識は0.6%と極めて低いことを確認した.
著者
吉田 圭佑 小川 剛史
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.189-196, 2018 (Released:2018-09-30)
参考文献数
36

In this paper, we propose a novel method to virtually simulate the sensation of spiciness by applying thermal grill illusion to the human tongue. We describe our tongue stimulator equipped with interlaced warm and cool bars. To evaluate the effectiveness of this method, the system was experimentally tested in two studies. The first experimental results show that spicy taste was perceived by causing thermal grill illusion on the tongue. The second experimental results show that the strength of spicy perception is affected by both of average temperature and difference in temperature between warm and cool stimuli.
著者
石原 知洋 四本 裕子 角野 浩史 玉造 潤史 中村 遼 小川 剛史 相田 仁 工藤 知宏
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.85-92, 2020-11-26

2020 年初頭から発生した COVID-19 により,多くの大学で 4 月からオンラインによる講義の配信を行っている.オンライン講義のメリットが明らかになる一方で,様々な要因から対面での講義の実施も求められている.そこで東京大学では,COVID-19 対応のためオンラインと,感染症対策を実施した上での対面講義の双方を実施するハイブリッド方式の講義を検討している.このハイブリッット方式では,対面講義のためキャンパスに来た学生が,対面講義の他にもその日のオンライン講義をキャンパスのネットワークを用いて受講することになる.このように多数の学生がキャンパスネットワークを用いてオンライン講義を受講するにあたって,どの程度のネットワーク設備があればそのような講義形態が可能であるかは自明ではない.そこで我々は,最もボトルネックになると想定されるユーザ端末の無線接続について,実際の教室を用いて多人数での同時オンライン講義の受講が可能であるかの評価実験をおこなった.本実験では,いくつかのオンラインの講義シナリオを設定し,ネットワーク状況やオンライン講義の音声・映像の品質を計測,確認した.本論文ではその実験結果および得られた知見について述べる.
著者
新島 有信 小川 剛史
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.93-100, 2016-03-31 (Released:2017-02-01)

In this paper, we investigated to control a phantom sensation by visual stimuli. A phantom sensation is one of tactile illusion caused by vibration stimuli. Some previous works employed vibration motors for a tactile display, and utilized a phantom sensation to present tactile stimuli in a large area with a few vibration motors. Our research is to control tactile perception by visual stimuli. Our previous works showed that visual stimuli influence tactile perception. From the results, we considered that it is also possible to control a phantom sensation by visual stimuli. We made a primitive visual-tactile display, and conducted some experiments. The results showed that visual stimuli influenced a phantom sensation and it seemed to be possible to cause or not to cause a phantom sensation by visual stimuli.
著者
桝田 秀夫 小川 剛史 町田 貴史 中澤 篤志 清川 清 竹村 治雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1239-1248, 2008-03-15
参考文献数
15
被引用文献数
1

教育用計算機システムでは,多数の利用者に対して各種のアプリケーションが動作する一様な計算機環境を,できるだけ低いTCO (Tota1 Cost of Ownership)で実現する必要がある.運用コスト削減のためには,故障時に素早い復旧が可能であることだけでなく,そもそも故障しにくい構成をとることも重要である.本論文では,これまでの運用の中で最も故障の多かったバードディスクをクライアント上では使用しない,ディスクレス構成を用いたLinuxベースの情報教育システムの開発とその評価について述べる.また,予算措置の関係で導入時期や機種が異なる複数種類のパソコンを,一括して運用管理する必要性に対応するための構成上の工夫についても述べる.さらに,Microsoft Officeで作られた文書の激増に対して,互換性のあるOpen Office.orgやStarSuiteだけではなく,0SとしてのMicrosoft Windowsを運用せずに,Microsoft Office自体をCrossOver OfficeというWINEベースのエミュレータ上で稼働させることに挑戦している.これらの構成の設計・開発の経緯,ならびに導入後約2年間の運用実績と得られた知見について報告する.
著者
小川 剛史 佐藤 博則 狩川 大輔 高橋 信
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.343-354, 2017

The human-centered automation principle, saying that the human should have the final authority over the automation, has been regarded as the essential design requirement of automated systems. However, the reliability of human performance can be decreased by the effects of time pressure, high workload, and so on. Therefore, adaptive automation systems, which are characterized as the dynamic function allocation between the human and the automation, are expected. In order to realize such systems, the estimation of operators' workload are necessary. The present research, therefore, has developed a workload estimation method using the physiological data of an operator. A wearable sensing device called JINS MEME was introduced to obtain operators' electrooculography (EOG), acceleration, and gyro sensor data while they handled a complex simulation task provided by Smart Grid Simulator. A machine learning method, Support Vector Machine, has successfully identified two types of categories of operators' workload conditions, "High" and "Acceptable", over 90% accuracy using 10 parameters based on JINS MEME outputs. In addition, based on the detailed analysis of individual differences including each parameter, the effective utilization method of machine learning in workload estimation for adaptive automation has been discussed.
著者
大山 晃平 小川 剛史
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.31-39, 2020 (Released:2020-03-31)
参考文献数
24

There have been many studies on cross-modal interfaces by interaction among multiple sensory modalities. Most of the previous studies utilize the cross-modal phenomenon as a means to give a new stimulus or to enhance stimuli. In this paper, we propose the diminished reality method for a pressure stimulus by the cross-modal phenomenon. Our method generates cross-modal phenomenon by the mismatch between visual stimulus and pressure stimulus by using reverse reproduction of video. The experimental results showed that the pressure perception can be reduced by the mismatch between visual stimulus and pressure stimulus in both smartphone mode and HMD mode.
著者
大山 晃平 小川 剛史
雑誌
研究報告デジタルコンテンツクリエーション(DCC) (ISSN:21888868)
巻号頁・発行日
vol.2019-DCC-21, no.57, pp.1-6, 2019-01-17

感覚間の相互作用を用いたクロスモーダルインタフェースに関する研究が盛んに行われている.著者らの研究グループでは提示した感覚を減衰させる隠消現実感にクロスモーダル現象を応用するための基礎検討を行ってきた.特に視覚と圧覚の相互作用に着目し,視覚刺激と圧覚刺激の不整合によって圧力知覚を減衰できる可能性を示してきた.これまでのプロトタイプでは視覚刺激の提示ディスプレイとしてスマートフォンを用いていたが,ディスプレイに表示される腕に対する自己帰属感が低い被験者は圧力知覚が減衰し辛い傾向にあった.本稿では強い自己帰属感を維持するために,視覚刺激の提示ディスプレイとして HMD を用いた実験を実施し,その結果について考察した.実験で得られた知見をもとに,圧覚の隠消現実感を引き起こすための視覚刺激の提示条件について議論する.
著者
小川 剛史 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.45, pp.109-114, 2000-05-25
被引用文献数
3

近年,ビデオ会議や仮想空間を用いた電子会議など遠隔会議を支援する研究が盛んに行われている.ビデオ映像では相手の存在感を十分に表現できないという問題が生じる.また,仮想空間を用いて会議を行っても多くのユーザが参加すると一人一人の姿がよく見えないという問題がある.会議など話し合いをするときには相手の姿が見え,相手の存在感を感じて意見を交換することが重要である.そこで本稿では,仮想空間を利用するシステムに注目し,特に大多数のユーザが参加している場合でも,発言者の姿を確認できる仮想空間の提示手法として,自動ズーミングと自動ロケーティングと呼ぶ手法を提案する.自動ズーミングでは,広い1つの仮想空間で会議を行う場合には発言者付近を拡大表示している.自動ロケーティングでは,複数の狭い空間からなる仮想空間で会議を行う場合には発言のあった空間に随時表示を切り替えて表示している.さらに筆者らがこれまでに提案した空間提示手法であるIBNR(Image Based Non-Rendering)で構築した仮想空間を用いて,電子会議をWeb上で実現するシステムの実装を行ったので,そのシステムの構成について述べる.Recently, there are many studies which support remote conferences such as video conference and teleconference using virtual spaces. In video conference systems, it is generally difficult to represent the existence of other participants. On the other hand, in conference systems using virtual space, participants cannot clearly see each other when many users participate in the conference. In this paper, focusing on teleconference system using virtual spaces, we propose presentation methods, called auto-zooming and auto-locating, of a virtual space where each participant can see the speaker, even if there are many participants in the virtual space. In auto-zooming, when a conference is held in a single subspace, the subspace is zoomed in to show a bigger image of the speaker. In auto-locating, when the conference is held across multiple subspaces, the subspace which contains the most recent speaker is displayed. We also describe our teleconference system on the web using virtual space constructed by IBNR (image-based non-rendering), the virtual space representation system which we have proposed previously.
著者
王 夢 小川 剛史
雑誌
研究報告デジタルコンテンツクリエーション(DCC)
巻号頁・発行日
vol.2013-DCC-4, no.7, pp.1-6, 2013-06-20

拡張現実感における現実世界に重畳表示した仮想オブジェクトのリアリティを向上させるためには,視覚的な提示だけでなく,触覚や聴覚など,より多くの感覚刺激を提示することが重要である.本研究では,聴覚刺激の提示のみで任意の場所に音像を定位することは困難なため,視覚と聴覚のクロスモーダル知覚を用いたシステムを提案する.本稿では,提案システムの実現に向け視覚刺激が音像知覚に与える影響を調査した初期実験について報告する.実験により,視覚と聴覚のクロスモーダル知覚を用いることで,聴覚刺激のみを与えたときと比較して,被験者が音像の位置をより強く認識できることが分かった.
著者
小川 剛史 亀井 勇統
出版者
佐賀大学
雑誌
Coastal bioenvironment (ISSN:13487175)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-29, 2005

本研究では、一度形成されたシミ・ソバカスを消し去る新規美白化粧品の開発を目的に、2004年4月から2005年1月にかけて採取した海水、河川水、海底泥、および海洋生物から分離した微生物を対象にメラニン分解活性のスクリーニングを行った。その結果、屋久島沖にて採水した表層水並びに三重県沖にて採水した水深4,000mの深層水からメラニン分解菌と思われる菌を2株見出した。次に、これらの微生物が有するメラニン分解活性を、液体培地を用いて評価したところ、TM11-4000-1株がメラニン分解活性を有することが示唆された。また、顕微鏡下における形態観察によりTM11-4000-1株をPenicillium sp. として同定した。さらに、TM11-4000-1株より調製した組酵素を用いてメラニン分解活性を評価したところ、わずかな活性を示した。
著者
井口 将秀 千田 豊 中嶋 秀夫 小川 剛史 片山 義紀 小方 大成 峯村 敏幸 宮部 圭介 渡海 大輔 新見 健一郎
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.193-199, 2012-03-25 (Released:2012-07-04)
参考文献数
11
被引用文献数
5 2

The Japan Atomic Energy Agency (JAEA) has conducted activities in Japan since March 2009 in order to establish the manufacturing procedure for the ITER toroidal field (TF) coil structures. A TF coil structure consists of a TF coil case and components. The activities include ensuring that the structural materials and welding procedure comply with the Japan Society of Mechanical Engineers (JSME) code for fusion devices, and demonstrating the manufacturing method and procedures using full-scale segments of the TF coil structure. From the results of these activities, the JAEA confirmed that the quality control method of actual series TF coil structures complies with the JSME code. Therefore, the quality of structural materials and weld joints using gas tungsten arc welding (GTAW) satisfy the ITER requirements. In addition, the JAEA obtained knowledge regarding the welding deformation of the actual TF coil structures. This paper describes the results of these compliance and development activities for ITER TF coil structures.
著者
西尾 章治郎 原 隆浩 寺田 努 小川 剛史
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

無線通信機能をもつ小型センサノードで形成するセンサネットワークに対し、(1)センサネットワークノードのための動的機能交換ミドルウェア、(2)センサネットワークのためのデータ配置管理技術、(3)センサネットワークのためのデータ送受信技術の3 テーマを中心に研究を推進し、センサネットワークのためのデータ処理基盤となる技術の研究開発を行った。本研究の成果は、多数の学術論文誌や国際会議録等に掲載され、国内外において高い評価を得ている。