著者
Tomohiro TAKATANI Hiroshi AKAEDA Teruo KAKU Masahide MIYAMOTO Hirohiko MUKAI Tamao NOGUCHI
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
Food Hygiene and Safety Science (Shokuhin Eiseigaku Zasshi) (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.292-295_1, 1998-08-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
11
被引用文献数
5 5

最近, 九州地域ではこれまで例がほとんどない Gymnodinium catenatum により二枚貝が毒化している. 1998年1月下旬, 熊本県天草の宮野河内湾で天然マガキが麻痺性貝毒 (PSP) により毒化した. 同湾から, 1996年の大分県蒲江に引き続き, G. catenatum が密度308細胞/mLで確認された. カキの毒性値は3.0~263MU/gを示し, HPLC分析の結果, その毒成分はカキ, プランクトンともにC1 (PX1), C2 (PX2) を主成分としていた. この結果, カキは食物連鎖を通して G. catenatum により毒化したと結論した.
著者
Hideaki YAMANAKA Kazuo SHIOMI Mutsuko MIYAHARA Takeaki KIKUCHI
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
Food Hygiene and Safety Science (Shokuhin Eiseigaku Zasshi) (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.270-275, 1979-08-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1 4

強い酸化力を有する殺菌料である過酸化水素と種々のアミノ酸との反応によって生ずるアルデヒド類について調べ, 次のような結果を得た.(1) Gly, Ala, Val, Leu, Ileu, Pheに過酸化水素を加えた反応液の2, 4-DNPH誘導体をTLCにより分離すると単一成分を与えた. 標品とのRf値, 紫外部吸収極大, 融点, 結晶の色調の比較から, それぞれのアミノ酸からはホルムアルデヒド, アセトアルデヒド, イソブチルアルデヒド, イソバレルアルデヒド, 2-メチルブチルアルデヒド, フェニルアセトアルデヒドが生成されたことがわかった. 各アミノ酸が過酸化水素により脱アミノ, 脱炭酸反応を起こし, 対応するアルデヒドが生成したものと考えられる.(2) Na-Glu, Asp, Thrと過酸化水素からはアセトアルデヒドが生成した.(3) Serに過酸化水素を加えた場合は, 主反応生成物としてホルムアルデヒドが検出された. Glyの場合よりSerの方がホルムアルデヒドの生成量は大であった.(4) 過酸化水素を使用している市販食品 (かまぼこ, はんべん, かずのこ, うどん) 中のカルボニル化合物をTLCで調べたところ, 2~8成分が検出された. Na-Gluを多量に添加するかまぼこやはんぺんでは過酸化水素処理によってアセトアルデヒドの生成の可能性がある.
著者
Masao IMAMURA Isao NIIYA Hiroshi IIJIMA
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
Food Hygiene and Safety Science (Shokuhin Eiseigaku Zasshi) (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.249-254, 1965-06-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
12

乳成分の定量法および添加量の実情を調査するためマーガリン76種, 天然バター4種を入手し, 乳固形分, 糖, タンパク, リン, カルシウムの定量を行なったところ, およそつぎの結果を得た.1) 糖はベルトラン法, タンパクはミクロケルダール法, リンはリンバナドモリブデン酸法およびカルシウムはEDTAによるキレート滴定法より定量を行なった.2) ほとんどの家庭用マーガリンにはかなりの乳成分が添加してあり最高は乳固形分2.75%であった. 平均値でみると家庭用 (カートン) 1.036%, ついで学校給食用, 付マーガリンの順で簡易包装, 業務用は0.325%および0.371%であった.3) 糖とタンパクの比率は乳成分の少ないほどレシチンによる影響があり, 付マーガリンにいたっては平均値で糖0.178%に対してタンパク0.272%とむしろ多い.4) リンおよびカルシウムは乳固形分の量に応じて検出され, 最高はそれぞれ294.6, 360.4ppmであった. しかしリンはレシチン等からも検出されるのでタンパク同様かなりバランスのくずれたものも見うけられる. その点カルシウムはほとんど乳成分のみに由来するとみられ, それを正確に測定することによって正当な乳成分の添加の場合においては乳成分の添加量を知ることができる.5) 試料中とくに大豆粉乳または乳糖を加えたもの, レシチンを比較的多く使用されたものがあり, 糖タンパク, リン, カルシウムの量に著しくバランスのくずれたものがあった.