- 著者
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桐山 孝司
吉川 弘之
冨山 哲男
桐山 孝司
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 一般研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1992
本研究ではまず、機械設計の知識表現のためのオントロジーの分類を提案した。知識表現のオントロジーとは、現実世界に関する知識を特定の形式で記述するために、そもそもどのようなものが個体や物質として存在するかという捉え方や、そこで捉えた内容を表現するための語彙の集合を指す。機械に関する知識にはさまざまな見方や抽象化のレベルがあり、知識表現に必要なオントロジーも多岐にわたる。本研究ではオントロジーを、抽象化(現実世界と記述のための語彙との対応)、簡略化(抽象化された表現同士の間の簡略化の関係)、領域(力学、電磁気学など知識がカバーする範囲)、粒度(存在物を切り分ける大きさ)、範囲(世界の中から注目する部分を切り取る大きさ)の軸で分類した。次に本研究では、フィジカル・フィーチャー収集のためのツールを作成した。フィジカル・フィーチャーとは、機械設計に用いられる物理現象と、それを起こさせるのに必要な属性の組である。フィジカル・フィーチャーは機械の機能と構造とを関連づけるものとして、特に機械の概念設計段階の知識の表現に適する。本研究では機械の機能、挙動、構造を一般的に表現するシステムSYSFUND(System for Functional Design)を開発し、それを用いてフィジカル・フィーチャーを収集した。最後に本研究では、設計知識の共有化のためのデータベース環境を開発した。フィジカル・フィーチャーのデータベースは、対象とする物理現象の種類を増やすと大規模なものになり、個人のデータベースを超えた共有データベースの考え方が必要になる。本研究ではオブジェクト指向データベースを共有のためのデータベースとして用い、必要に応じて個人のデータベースにフィジカル・フィーチャーを取り込める環境を構築した。