- 著者
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福山 力
太田 幸雄
村野 健太郎
内山 政弘
- 出版者
- 国立環境研究所
- 雑誌
- 一般研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1993
本研究は平成5〜6年度の一般研究Bとして行われたものであるが、当初使用していた北海道上砂川町三井石炭鉱業南部立坑の閉鎖によりこれに代わる立坑を探す必要が生じ、平成6年11月岩手県釜石鉱山立坑の使用に関する了解が得られたものの、坑内整備と予備調査に平成7年3月までを要したため、予定期限の平成6年度末に研究を終了させることが不可能となった。しかし同年4月に第1回、10月に第2回の実験を行い、最初の目標に沿う成果が得られた。いずれの実験でも坑底から十数ないし数十mの高さで雲の発生が認められた。坑底で二酸化硫黄を約1l/分で放出し、雲底下の雲のない部分と立坑最上部の雲頂に相当する部分において、二酸化硫黄と硫酸塩粒子の濃度、さらに後者においては雲水中の硫黄含量も測定した。その結果、少なくとも雲底直下と直上では全硫黄量がほぼ保存されていること、二酸化硫黄は雲頂に至るまでにほとんどすべてが雲粒に取り込まれることがわかった。第2回の実験ではエレベータに搭載した二酸化硫黄計により、濃度の鉛直分布の測定に成功した。濃度分布は雲底を境界として減衰定数が異なる2つの指数関数で表現され、それぞれの値から雲底下における坑壁への拡散の効果と雲中での水滴への取り込みすなわちレインアウトの効果を評価することができた。後者に対応する減衰の半減期は80sで、二酸化硫黄は速いin-cloud過程により気相から失われることが明らかとなった。また、立坑最上部で熱線式水滴径測定装置により雲粒の粒径分布を観測したところ、基本的には9μm付近に極大をもつ一山型の分布であったが、間欠的に30μm近くに第二の極大が現れることが認められた。このような大粒径水滴の出現は熱線法とは独立にウォーターブルー法によっても確認された。この水滴の個数濃度は小さいが、雲水量には大きな寄与を持つので、降雨過程との関連も含めて今後の検討が必要である。