著者
池田 有光 村野 健太郎 畠山 史郎
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.102-108, 1994-06-20 (Released:2010-08-27)
参考文献数
8
著者
村野 健太郎 水落 元之 鵜野 伊津志 福山 力 若松 伸司
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.620-625, 1983 (Released:2010-01-18)
参考文献数
9
被引用文献数
4 2

ポリテトラフルオロエチレン濾紙を装着した連続サンプラーで関東地方上空の大気粒子状物質を捕集し,水溶性成分を抽出し,イオンクロマトグラフィーで分析した.上空には主に塩化物イオン,硝酸イオン,硫酸イオン,アンモニウムイオンが存在し, 5分間の短時間サンプリングで分析可能なため,地域的な汚染が明らかになり,光化学スモッグ発生の他のパラメーター,オゾンとの相関が議論できた.硝酸イオン,硫酸イオンは光化学反応によって生成するが,硫酸イオンはオゾンと正の相関があり,アンモニウムイオンも硫酸イオンの対イオンとなるため,オゾンと正の相関があった.イオンバランスの測定により,硫酸イオンが硫酸アンモニウムの形で存在することが明らかとなった.
著者
鹿角 孝男 薩摩林 光 佐々木 一敏 鹿野 正明 太田 宗康 畠山 史郎 村野 健太郎
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.282-291, 1996 (Released:2011-11-08)
参考文献数
34
被引用文献数
6

山岳地域における環境大気中の浮遊粒子状物質 (SPM) と大気降下物の特徴を把握するため, 唐松岳入方尾根および長野市においてSPMを1ヵ月毎に採取し, 化学成分濃度を測定し, 各種発生源寄与率の推定を行った。また, 大気降下物を1ヵ月毎に測定し, 酸性物質降下量を調査して, 渓流水への影響について検討した。八方尾根におけるSPM中のSO42-濃度は春季~ 夏季に高くなる変化を示した。春季 (3~4月) には黄砂の影響が見られ, 黄砂粒子の濃度は約4μg/m3と推定された。調査地点近傍の土壌粒子の寄与は少なかった。大気降下物のpHは平均5.1であり, 長野市 (平均5.3) よりもわずかに低く, 春季に高くなる傾向があった。nss-SO42-の降下量は長野市の約2倍あり, またNO3-の降下量も多く, 清浄地域と考えられる山岳地域にも多量の酸性物質の降下が認められた。八方尾根付近の渓流である平川の水質は, pH7.6, アルカリ度0.48meq/lと十分な中和能があったが, 梅雨期には希釈効果により一時的にアルカリ度の低下が認められた。NO3-濃度は融雪期 (3~4月) に上昇したが, pHの低下は見られなかった。
著者
鹿角 孝男 薩摩林 光 佐々木 一敏 鹿野 正明 太田 宗康 畠山 史郎 村野 健太郎
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.282-291, 1996

山岳地域における環境大気中の浮遊粒子状物質 (SPM) と大気降下物の特徴を把握するため, 唐松岳入方尾根および長野市においてSPMを1ヵ月毎に採取し, 化学成分濃度を測定し, 各種発生源寄与率の推定を行った。また, 大気降下物を1ヵ月毎に測定し, 酸性物質降下量を調査して, 渓流水への影響について検討した。<BR>八方尾根におけるSPM中のSO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>濃度は春季~ 夏季に高くなる変化を示した。春季 (3~4月) には黄砂の影響が見られ, 黄砂粒子の濃度は約4μg/m3と推定された。調査地点近傍の土壌粒子の寄与は少なかった。大気降下物のpHは平均5.1であり, 長野市 (平均5.3) よりもわずかに低く, 春季に高くなる傾向があった。nss-SO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>の降下量は長野市の約2倍あり, またNO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>の降下量も多く, 清浄地域と考えられる山岳地域にも多量の酸性物質の降下が認められた。<BR>八方尾根付近の渓流である平川の水質は, pH7.6, アルカリ度0.48meq/<I>l</I>と十分な中和能があったが, 梅雨期には希釈効果により一時的にアルカリ度の低下が認められた。NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>濃度は融雪期 (3~4月) に上昇したが, pHの低下は見られなかった。
著者
鹿角 孝男 川村 實 薩摩林 光 西沢 宏 村野 健太郎
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.75-80, 2002-01-10
被引用文献数
3

2000年8月から9月にかけて,関東,中部,東海地方の広い範囲で環境基準を超える高濃度の二酸化硫黄(SO_2)が観測され,異臭騒ぎが発生した。長野県内でも高濃度のSO_2が観測され,9月13日の1時間値の最高濃度は県南部の飯田市で383ppbを記録し,北部の長野市でも76ppbに達した。後方流跡線の解析結果から,これらは活発に活動している三宅島の火山ガスが原因であると考えられた。このような火山ガスの影響を調べるため,長野県北部の長野市,八方尾根および白馬村において4段ろ紙法によるガス・エアロゾルの測定を実施した。その結果,エアロゾル中の硫酸イオン(SO_4^2-)は9月14日10〜14時に長野市で44.4μg/m^3の高濃度が出現し,八方尾根と白馬村でも15日12〜18時に30μg/m^3を超えた。陰イオンの過剰分を水素イオン(H^+)と仮定して算出した3地点の粒子状硫酸(H_2SO_4)の濃度は,長野市,八方尾根,白馬村でそれぞれ21〜33,11〜21,6.8〜18μg/m^3の範囲内にあると推定され,SO_4^2-に占めるH_2SO_4の比率(モル比)は,それぞれ46〜72,34〜65,22〜58%と,濃度,比率とも極めて高い値であったと推定された。
著者
福山 力 太田 幸雄 村野 健太郎 内山 政弘
出版者
国立環境研究所
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

本研究は平成5〜6年度の一般研究Bとして行われたものであるが、当初使用していた北海道上砂川町三井石炭鉱業南部立坑の閉鎖によりこれに代わる立坑を探す必要が生じ、平成6年11月岩手県釜石鉱山立坑の使用に関する了解が得られたものの、坑内整備と予備調査に平成7年3月までを要したため、予定期限の平成6年度末に研究を終了させることが不可能となった。しかし同年4月に第1回、10月に第2回の実験を行い、最初の目標に沿う成果が得られた。いずれの実験でも坑底から十数ないし数十mの高さで雲の発生が認められた。坑底で二酸化硫黄を約1l/分で放出し、雲底下の雲のない部分と立坑最上部の雲頂に相当する部分において、二酸化硫黄と硫酸塩粒子の濃度、さらに後者においては雲水中の硫黄含量も測定した。その結果、少なくとも雲底直下と直上では全硫黄量がほぼ保存されていること、二酸化硫黄は雲頂に至るまでにほとんどすべてが雲粒に取り込まれることがわかった。第2回の実験ではエレベータに搭載した二酸化硫黄計により、濃度の鉛直分布の測定に成功した。濃度分布は雲底を境界として減衰定数が異なる2つの指数関数で表現され、それぞれの値から雲底下における坑壁への拡散の効果と雲中での水滴への取り込みすなわちレインアウトの効果を評価することができた。後者に対応する減衰の半減期は80sで、二酸化硫黄は速いin-cloud過程により気相から失われることが明らかとなった。また、立坑最上部で熱線式水滴径測定装置により雲粒の粒径分布を観測したところ、基本的には9μm付近に極大をもつ一山型の分布であったが、間欠的に30μm近くに第二の極大が現れることが認められた。このような大粒径水滴の出現は熱線法とは独立にウォーターブルー法によっても確認された。この水滴の個数濃度は小さいが、雲水量には大きな寄与を持つので、降雨過程との関連も含めて今後の検討が必要である。
著者
松本 利恵 唐牛 聖文 米持 真一 村野 健太郎
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.357-373, 2002-11-10
被引用文献数
8

2000年7月の三宅島大噴火以降,関東地方では著しい大気中のSO_2濃度の上昇や大気降下物の酸性化が観測されている。そこで,埼玉県における大気降下物や大気中のS0_2濃度に対する三宅島火山の影響について検討を行った。1999年4月から2001年3月にかけて埼玉県内5地点で酸性雨ろ過式採取装置を用いた大気降下物の観測を行った。その結果,関東地方各地で大気中のS0_2濃度が上昇した2000年8月から10月は,1999年の同時期と比べて,大気降下物のpHは低下,nss-SO_4^2-の降下量は増加し,硫黄酸化物の大気降下物への汚染寄与が大きくなった。騎西に設置した酸性雨自動イオンクロマトグラフ分析装置により降雨量1mmごとに測定した2000年9月から10月初めの降雨のイオン種濃度変動と上空に存在する気流の関係を検討した。その結果,上空に三宅島から騎西へ向かう気流が存在するときに降雨のpHの低下およびnss-SO_4^2-濃度の上昇が生じ,高いときにはnss-SO_4^2-が陰イオンの約90%を占めていた。更に気流の方向により降雨の酸性化やnss-SO_4^2-濃度上昇の程度が短時間で変化したことから,火山から約220km離れた騎西の降雨に対する三宅島火山起源の硫黄酸化物の影響が明らかになった。降雨を伴う期間の騎西における大気中SO_2濃度変動について検討したところ,火山放出物が安定した上空を移流する場合には大気安定度が,強風に吹き下ろされて低空を移流する場合には三宅島からの輸送経路途中の降雨による洗浄効果が大きな要因となっていた。
著者
片山 学 大原 利興 村野 健太郎
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.200-217, 2004-07-10
被引用文献数
10

地域気象モデルRAMSと結合した物質輸送モデルHYPACTを用いて東アジアにおける硫黄化合物の動態をシミュレートし,1995年7月と12月におけるソース・リセプター関係を定量化することにより,日本列島への沈着量の発生源地域別構成とその季節変動を解析した。本研究で用いたモデルは,従来のソース・リセプター解析用モデルとは異なり,地域気象モデルで計算された時空間分解能の高い気象データを活用することにより物質輸送モデルで必要とする各種の気象パラメータを精緻に与えているところに特徴がある。変質・沈着プロセスを組み込んだHYPACTは国内各地で観測されたSO_2とSO_4^<2->の地上濃度およびSO_4^<2->湿性沈着量を良好に再現する。このモデルを使って東アジアにおけるソース・リセプター関係を解析した結果,日本への硫黄沈着量の発生源地域別寄与率は7月には火山36%,日本28%,中国18%,朝鮮半島12%,12月には中国58%,朝鮮半島17%,日本13%,火山8%となり季節によって大きく変化する。すなわち,7月と12月における日本列島の硫黄沈着を比較すると,7月には火山を含む国内発生源の寄与が64%にも達するのに対して,12月にはその寄与は21%に低下し越境汚染の寄与牢が75%まで増加する。このように7月と12月において発生源地域別寄与率が大きく異なる原因は基本的に風系パターンの違いによって説明できる。また,日本海側と太平洋側の季節別沈着量を比較すると,太平洋側では7月の沈着量が12月の沈着量に比べて3倍程度増加するのに対して,日本海側における12月の沈着量は7月の沈着量に比べて約10%増加する程度である。このため日本全体では,越境大気汚染の寄与が大きな12月よりも火山を含む国内発生源の寄与が増加する7月の方が沈着量が20%程度多くなる。以上のことから,日本での沈着量の季節変動を議論する場合,越境汚染よりもむしろ火山を含む国内発生源影響の季節変動が重要である。
著者
寳示戸 雅之 波多野 隆介 村野 健太郎 林 健太郎 神山 和則 荻野 暁史
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

<発生>農業に由来するアンモニア発生量を発生源別にできるだけ正確に見積もり、これを1kmメッシュ地図として示すとともに畑地、水田、草地からの発生量実態を観測した。<実態>国内27地点の大気中アンモニア、アンモニウム塩濃度を観測するとともに、栃木県の集約酪農地帯において湿性沈着、乾性沈着を観測し、地域内発生量からみた「大気を介した窒素循環」の実態を推定した。<影響>北海道標津川流域を対象として河川水の濃度と投入窒素量の解析から、流域に投入された窒素の一部は河川へ流出するものの残りは硝酸態窒素となり、脱窒を介して河川への炭酸イオンを増加させることを推定した。