著者
松沢 哲郎 杉山 幸丸 藤田 和生 友永 雅己
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究では、アイ・アキラと名づけられた「言語」習得訓練を受けてきた2頭のチンパンジーと、未経験の若いチンパンジー4頭の計6頭のチンパンジーを主たる対象として、チンパンジーのもつ認知機能を「シンボル操作」の階層構造という視点から捉え、ヒトとの比較において理解することを目的とした。シンボルの操作は、まさにヒトをヒトたらしめているきわめてヒトに特異な能力だからである。シンボル操作のトピックスとしては、ストループ効果(視覚シンボルのもつ言語的意味と知覚的見えのあいだの相互作用)について検討した。人工言語習得の研究を継続してきたアイ17歳、アキラ17歳と、さまざまな見本合わせ課題の経験をもつ4頭のチンパンジー(ペンデ-サ16歳、クロエ13歳、ポポ11歳、パン10歳)を主たる対象として、ヒト幼児からおとなまでを対象とした比較研究により、以下に述べるシンボル操作の階層性を実験的に分析した。シンボル操作を検討する汎用の実験装置は、コンピューター本体に、ハイパータッチとよばれる新しいタッチパネルシステムと画像処理装置を組みあわせた刺激提示・反応記録装置をもちいた。そのために必要なインターフェスについては自作した。シンボル操作と概括する上述の高次認知機能をひきだす場面は、具体的には見本合わせ場面(同一見本合わせ、象徴見本合わせ、構成見本合わせ、遅延見本合わせなど、およびそれらの複合課題)である。10色を色名図形文字と色名漢字の両方で表現できるようにチンパンジーを訓練し、ストループ干渉の予備実験をおこなった。

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