- 著者
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土谷 富士夫
松田 豊
辻 修
- 出版者
- 帯広畜産大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1994
寒冷・少雪の気象条件にある十勝地域では融雪期において、凍結した土壌が完全に融解するまでの期間、凍結層が土中に残存し不透水層となり、融雪水や降雨によって土壌浸食の発生が多く、問題となっている。本研究では、寒冷、少雪である十勝地域における農地造成地、草地造成地を主な対象として現地調査、人口降雨装置による土壌侵食実験、傾斜枠試験、降雨係数の算出解析等を通して、農用地造成圃場における侵食実態、凍結土壌の浸食メカニズム、侵食予測等について検討したものである。本研究で得られた主な知見をまとめると以下のようになる。融雪期間における造成農地の土壌侵食は、圃場面よりもそれに付帯する法面において侵食被害が多く発生していることが明らかとなった。また法面方向による土壌侵食の危険性は、北向き法面が南向き法面と比較して融解時期、法面土層中に凍結層の残存する期間が長く、かつ積雪も日陰のため多く残存し、その危険性の高いことが明らかとなった。人工降雨装置を使用した凍結融解繰り返し斜面の土壌浸食実験の結果より、凍結融解繰り返し斜面では、どの勾配においても凍結融解の繰り返し回数が増加するとともに流亡土量の増加が見られ、勾配が急になるほどこの傾向が強くなることが明らかとなった。傾斜侵食観測枠を設置し土壌侵食実験を行った結果、積雪期間における降雨係数の換算係数を求めると、北斜面で7.0、南斜面で10.2となった。これより十勝勝地域のような寒冷少雪であり、土壌凍結の深い地域の融雪期における土壌侵食の危険性が非常に高いことが明らかとなった。