著者
宮澤 啓輔 浅川 学
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

紅藻オゴノリ(Gracilaria verrucosa)をはじめとする海藻を原因食とする食中毒が日本でこれまでに数件発生しており、原因究明がなされた結果、中毒発生の直接的要因はオゴノリに含まれる酵素の作用によりアラキドン酸から生成したプロスタグランジンE2(PGE2)であることが明らかにされている。そこで本研究ではこの種の食中毒防止の観点から、瀬戸内海産のオゴノリ、シラモ(G.bursa-pastoris)、ツルシラモ(Gracilariopsis chorda)、カバノリ(G.textorii)及びオゴノリ未同定亜種Gracilaria sp.におけるPGE2の生成量を調査した。その結果、オゴノリのPGE2生成量は、成長段階の初期に高く、その後減少する傾向が見られること及び嚢果の有無による差はないことなどが明らかとなった。オゴノリではアラキドン酸(ナトリウム塩)を添加することにより、PGE2の生成量が増加することが認められ、PGE2生成量の最高値は、90μg/g生鮮藻体に達したが、推定中毒量には及ばなかった。また、藻体の液体窒素処理により、PGE2の生成量は数倍に上昇すること、酸性側では著しく減少することを認めた。他方、他の海藻ではPGE2は検出されなかったが、アラキドン酸添加により著しく増加する関連物質の存在が新たに確認されたため、アラキドン酸代謝産物と考えられる未同定成分について部分精製を行い、紫外部吸収スペクトル測定を行った。その結果、この成分の吸収極大はPGE2の192nmとは異なり、240nmであった。次いで、カバノリのアラキドン酸添加区抽出試料に含まれる未同定成分について、質量分析をLC-MSを用いて行い、その化学構造に検討を加えた。質量分析ではm/z=372、355、337、319、301にピークが検出され、それぞれm/z=M+H、M+H-H_2O、M+H-2H_2O、M+H-3H_2O、M+H-4H_2Oと帰属された。本成分は、PGE2と比較してヒドロキシル基の数が1つ多く、また構造が部分的に異なる物質であることが推定された。

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オゴノリの食中毒は、1982年の愛媛県の例がこちらで紹介されてますね。 http://t.co/46YLIGYW7N 科研費のデータベースでもいくつかその後の研究を知ることが出来ます。 https://t.co/0R7gxg76ce

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