著者
月村 辰雄 浦 一章 葛西 康徳
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

本年度は研究対象をもっぱら近世・近代のフランスにおけるレトリック教育、とりわけディセルタシオン(論文作成)とエクスプリカシオン・ド・テクスト(テクスト購読法)という二つの主要教育メソッドの展開の過程に焦点を絞って研究を進めた。ディセルタシオンは18世紀半ばのパリ大学の教授資格試験から採用されたディスクール形式で、スコラ学の論述形式の近代版といえる。初め哲学の問題が扱われたが,19世紀以降は順次ラテン文学,フランス文学研究の問題の解答形式ともなり,正-友-合という論旨の展開が義務付けられて現在に及ぶ。一方、エクスプリカシオン・ド・テクストは、初めはルネサンス期の古典語購読の方法として出発し,17〜18世紀には主としてイエズス会のコレージュでラテン語購読の方法として精錬され,次いで19世紀にはフランス語古典の解説法として発展する。ひとつひとつの語釈,難語解,構文説明,その部分の著作全体における意味,またその著作の著作家において占める意義,さらには時代との関係という具合に,1節から始まって文学史にまで話が及ぶスタイルが確立するのは1880年代である。

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