著者
長洲 南海男 丹沢 哲郎 片平 克弘 熊野 善介 今村 哲史
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

これまでの研究は大きく次の2点に焦点化される。第一は科学リテラシ(SL)論研究に関わる各種文献の収集とそのデーターベース化、第二はそれらの分析による科学教育改革の方向性の解明である。先ず、1993年までの過去30年間のSL論に関する文献の要旨をICASEのPenick教授がまとめたのと、UNESCOによる科学、技術リテラシ(STL)論の1994年までのを集めた要旨集をデータベース化出来た。次にそれ以降現在に至るまでの及びOECDお含めたSL及びSTL或いは科学の本質に関する論文を欧米の代表的な雑誌類より収集したが、膨大な数のため、完全な分析には至っていず、次への課題となっている。結局、次のことが明らかになった。30年前のSL論に比して、近年のSL論で展開している用語としての「科学の本質」は同じであるが、その意味する概念は全く異なっており、かつてのに比べて現今のは新しい科学・技術論に基づいており、その科学教育の背景には構成主義を包含したSTS論を基にしている点である。この基調はAAASのプロジェクト2061、NRCの全米科学教育スタンダード(NSES)-これについては他の協力者の協力を得て訳本を出版できた。BSCSのBybeeのSL論とも軌を同一にしていることが明らかになった。この基本的立場はUNESCOのSL論は先進諸国のみならず、開発途上国においてもその基本的理念は同じであることが明らかになった。さらにプロジェクト2061が構成主義的観点より幼稚園より高校3学年までの発達段階を考慮にいれたSLの認知発達の事例を日本において初めて翻訳できた。以上により新しい科学リテラシ(SL)論に基づく科学教育改革の方向性が明瞭になった。これらの成果は次年度の関連学会で発表の予定である。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな研究ありました:新しい科学リテラシー論に基づく科学教育改革の基礎研究(今村 哲史) http://t.co/M9sqpjlo1s

収集済み URL リスト