- 著者
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堀 信行
岡 秀一
大山 修一
松尾 容孝
高岡 貞夫
- 出版者
- 東京都立大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2001
最終年度として、研究代表者の堀は、霊山およびそれに関係する聖所にあたる広島湾内の厳島(宮島)の弥山など、自然植生に対する桜と紅葉の植生景観に関する人為的干渉の歴史や、その文化的背景について考察を加えた(この成果の一部は『風景の世界』(二宮書店:2004)に掲載された。このほか聖所を創出する樹としてのスギに注目し、自然植生としてのスギと植林としてのスギに分けて、その全国分布および神社の分布との関係について考察を進めた。このほか沖縄の代表的聖所である斎場御嶽の空間構成については、上述の『風景の世界』に公表した。このほか都市の中の聖所の事例として鎮守の森との関係についても考察を加え、上記出版物に公表した。なおこれまでに調査を行った各地の霊山および関連する聖所に関する全体的な考察は、本研究のおかげで更なる展開が期待され、そのまとめに向かって鋭意努力中である。また岡は、古代から古墳など歴史的なかかわりが深い隠岐諸島の森林植生について、土地利用との関連で人為的干渉の影響について現地調査を行うとともに、考察を行い報告書にまとめた。松尾は霊山の聖域の構造と自然植生の残り方に注目しまとめを行っている。高岡は、東日本を中心に霊山をはじめとする神社仏閣の分布と、GIS(地理情報システム)を活用して自然植生と人為植生との関係を追及し、論文としてまとめを行っている。大山は、琉球弧では食用に供されてきたソテツが、本州では神社仏閣に植栽されていることに注目し、ソテツの樹齢や歴史、逸話などの資料を収集し、日本人の自然観と人為的な営為との関係についてまとめを行っている。本研究が自然植生を見る視座に新たな観点を加えることができたと考えている。問題の深まりと新たな展開を取り入れて、さらなる研究成果を随時出して生きたい。