- 著者
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坂西 友秀
- 出版者
- 埼玉大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2003
研究は、次の3点に焦点を当てて行った。(1)「人種ステレオタイプの経年変化を明らかにするために、1998年と2006年の学生の実験データを比較し、分析した。その結果、依然として多くの実験参加者は、伝統的な「人種」ステレオタイプを強く持っていた。「人種」デフォルメされた絵本「ちびくろさんぼ」の挿絵を5割の実験参加者が好み、ストーリーにふさわしい絵として選択した。また、1998年の実験では、年齢の高い社会人は学生に比べ、「人種」ステレオタイプを強く持つことが明らかになった。学生では、1998年と2006年の間に「人種」ステレオタイプの有意な減少は認められなかった。(2)日本における「人種」「民族」差別・偏見の歴史的背景を、社会心理学の視点から考察した。民族差別・偏見と民族のアイデンティティ形成の問題は、日本の旧植民地韓国における「創氏改名」を取りあげ分析を行った。また、日本の「黒人」差別の問題は、戦後の日本人女性とアメリカ人兵士の問に生まれた「混血児」問題を取りあげて分析を行った。(3)現代のマイノリティに対する偏見は、「障害者」に対する態度の調査を実施し分析を行った。ほとんどの学生は、自らはマイノリティに対して差別することはなく、偏見も持っていないと回答した。しかし、社会一般の人は、マイノリティに対して差別し、偏見を持つと回答する割合が高かった。これらの結果を統合し、心理-歴史的視点から、現代日本の「人種」「民族」ステレオタイプと偏見の形成過程と現状を報告書にまとめた。