著者
福川 康之 小田 亮 平石 界
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

1.日本・フィリピン・マレーシアの大学生を対象に質問紙調査を行い,感染脅威や外集団脅威と高齢者に対する否定的態度(エイジズム)との関連を検討した.この結果,フィリピンおよびマレーシアサンプルの男性において,感染脅威とエイジズムとの間に有意な正の相関が認められた.他方,日本サンプルの男性においては,外集団脅威とエイジズムとの間に有意な正の相関が認められた.フィリピンやマレーシアのように感染リスクが高い熱帯地域に国々では,高齢者をウィルスキャリアとみなして嫌悪感情や否定的態度が生じやすいと思われる.これに対して日本では,他の2国よりも民族多様性に乏しいことから,高齢者を外集団とみなして排除しようとする否定的な心理メカニズムが生じやすいと思われる.ただし,女性に関しては上記の結果は適用しがたい.このことは,行動免疫仮説を検証するうえで,地域性や性差に配慮する必要があることを示唆するものである.2.日本人を対象とした大規模オンライン調査を行い,放射能汚染と関連する脅威(核施設の設置,汚染された食物や居住地域など)と,関連しない脅威(交通事故,火事,地震など)に関連する質問に回答を求めた.この結果,恐怖や不安の感情は,放射能と関連する脅威とのみ有意な正の関連を示すことが明らかとなった.加えて,放射能と関連する脅威は,メディアに対する不信感と正の関連を示した.これらの結果は,放射能汚染に対する嫌悪感情が,本来は感染脅威に対して発動するはずの行動免疫システムを活性化させた可能性を示唆するものである.

言及状況

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行動免疫が,身体的免疫システムと同様に生存や繁殖に有利となるよう進化した心理的性質である可能性|食行動や配偶者選択といった基本的な人間行動の解明に際し,部分的には行動免疫に配慮する必要のあることを示唆

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