- 著者
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三浦 麻子
平石 界
樋口 匡貴
藤島 喜嗣
- 出版者
- 関西学院大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2015-04-01
本研究計画は,心理学,特に社会心理学領域における,実験結果の再現可能性の検証を組織的に実施する世界規模の再現可能性検証プロジェクトに参画するために,日本における拠点を構築するものである.具体的には,追試研究の実施の拠点となる研究者ネットワークを形成し,標準化された刺激・手続きの日本語版を作成し,手続きの共有と結果の蓄積・公開をインターネット上で実現する.2017年度の研究実績は,以下の3点に集約できる.まず,自分たちの手で着実に再現可能性の検証を積み重ねるため,標準化された刺激・手続きを共有しうる追試研究を事前登録の上で実施し,その成果を日本社会心理学会の年次大会で3件報告し,参加者と活発な議論を行った.次に,心理学における実験結果の再現可能性検証の重要性に対する認識を普及させるための取り組みを行った.特に今年度は,心理学の関連領域の学会誌(ヒューマンインタフェース学会誌)特集号への招待論文の掲載や関連する内容を取り扱った著書や翻訳書の刊行,インターネットラジオ番組への出演など,心理学を超えた周辺領域や心理学に関心をもつ一般市民をも視野に入れた活動を展開した.そして,結果の再現性に疑念のある研究ばかりが追試されがち(そして,再現されないという結果が公表されがち)な現状を憂慮し,心理学の今後の発展のためには,頑健な再現性をもつだろう研究の再現可能性にも注目すべきという信念を持って,その追試マテリアルを作成することにも注力した.この作業は現在も進行中で,2018年度にはAdaptive Memoryに関する実験のマテリアルが完成する予定である.