著者
岡野 瑞穂
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

初年度である平成27年度は、フェミニスト国際関係論に関する文献を通じた理論研究と、「慰安婦」問題に関するフィールドワークを韓国で実施した。理論研究については、戦時性暴力に関する国連安全保障理事会(以下、安保理)決議の有効性と限界に関する文献を収集し、検討した。2000 年に安保理は、女性・女児の暴力からの保護、平和構築における女性の参加を紛争当事国に求める安保理決議1325 号を採択した。それ以降、特に戦時性暴力について、安保理は年々その処罰と予防を強化している。フェミニスト国際関係論の領域では、安保理決議1325号の有効性および限界に関する研究が数多くなされているが、評価は二分していることが文献調査から明らかとなった。否定的評価については、戦時性暴力被害者の正義実現が「加害者の訴追」に焦点化されていることが指摘されている。戦時性暴力被害者は被害後も「恥」や「名誉」といった社会的被害や健康被害を長きにわたって抱え続けることが、元「慰安婦」女性への調査から明らかとなっている。そこで、「慰安婦」問題が平成27年から28年にかけて日韓両政府の間で動きをみせたこともあり、戦時性暴力被害者の正義実現に際しての元「慰安婦」女性たちのニーズを把握するために、韓国に3回渡航した。そして元「慰安婦」女性への聞き取り調査、資料収集、運動関係者やメディア関係者らと交流・意見交換を行った。この調査で得られた成果として、日本政府が「慰安婦」問題への対応策として設立した「女性のためのアジア平和国民基金」の解散(2007年)以降に被害者たちが置かれてきた状況とニーズについてまとめたものを学会で報告し、論考を執筆した。

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“土野 瑞穂 (2015-201)「ジェンダー視点を取り入れた安全保障のグローバル・ガバナンスの形成過程に関する研究」(KAKENHI 15K16594)” http://t.co/gxIBCXe0SM #gender

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