著者
土野 瑞穂
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

三年目である平成29年度は、前年度に続いてフェミニスト国際関係論に関する文献を用いた理論研究と、紛争下における女性への性暴力の問題として日本が問われている問題である「慰安婦」問題に関するフィールドワークを韓国と台湾で実施した。理論研究に関しては、安全保障政策の意思決定や平和構築に女性の参加を促すことを目的とした「女性・平和・安全保障」に関する国連安全保障理事会決議1325号に着目し、とりわけ紛争下の戦時性暴力に関する文献収集を行った。そして「ジェンダー視点を取り入れた安全保障のグローバル・ガバナンス」である同決議にもとづく日本版国別行動計画(National Action Plan。2015年9月に外務省が発表)の策定過程において、紛争下における女性への性暴力として「慰安婦」がどのように論じられ、結果として行動計画から抜け落ちたかについて、外務省と市民社会との会合の議事録を主な分析資料として用いながら考察したものを論文として発表した。フィールドワークでは韓国と台湾において「慰安婦」問題と上述の国連安全保障理事会決議1325号に関する文献調査を行った。本年度中に調査結果の考察が終わらなかったため、次年度の課題にしたい。