著者
武田 三男 本田 勝也 天児 寧 宮本 欽生 桐原 聡秀 迫田 和彰
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

自己相似性を有する三次元フラクタル構造体であるメンジャースポンジを誘電体及び金属を用いて作製し、テラヘルツ時間領域分光法により、透過率、反射率及び直角散乱スペクトルを測定した。外形サイズ9mmで、ステージ2のサンプルにおいて、局在モードに対応すると考えられる透過率の極小及び直角散乱スペクトルの極大をそれぞれ見出した。金属サンプルにおけるその特性波長は二番目の正方形エアロッドの遮断周波数に一致し、マジックテイー効果で直角方向に伝播してゆくものと考えられる。現在、反射率測定のより高制度の測定システムを改良中である。フラクタル構造体中の局在モードの電磁場の空間振動パターンを確認するために、カントールバー型一次元フタクタル構造を持つマイクロストリップラインを作製した。ステージ数は1〜4である。また、比較のために周期構造を有するフォトニック結晶に欠陥構造を挿入したラインと、カントールバーと欠陥フォトニック結晶との中間構造のラインも作製した。ネットワークアナライザーにより透過及び反射の振幅と位相スペクトルを測定した。ステージ数3及び4においてフォトニックギャップ領域に局在モードに対応する鋭い透過ピークが見いだされた。モーメント法による数値解析を用いて、これらのピーク振動数のモードの電流空間分布を求めた。カントールバー中の局在モードは中央の幅の広いラインに整数の節を持つモードであるが、フォトニック結晶の欠陥モードのように欠陥領域に強く局在しているのではなくむしろカントールバー全体に少し広がったフォトニック結晶のバンド端モードに近い振動パターンを持つことが分かった。ラインの両翼もしくは中央のセグメントの長さを変えることによって、ライン全体を自己相似パターンから少し変化させ、局在モードの様子を調べた。局在モードのQ値はほぼ自己相似性を保っている構造において一番高いことが判明した。一方、数値解析としてはカントールバー構造中の電磁波の伝播特性について、マックスウェルの波動方程式を用いて、透過振幅及び透位相シフトスペクトルのステージ数依存性を計算し、ステージ数が4までのスペクトルではフォトニックギャップ領域に局在モードに対応した鋭い透過率ピークを確認した。局在モードの位相シフトの傾きがほとんどゼロになることを見いだした。また、テラヘルツパラメトリック発信分光システムを購入しフラクタル構造体によるテラヘルツ波の非線形光学効果の制御のためのシステムを構築した。

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こんな研究ありました:フラクタ構造体による電磁波の制御(武田 三男) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/16204020

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