著者
吉田 文 杉本 和弘 杉谷 祐美子 姉川 恭子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2017年度は、国内調査と香港の訪問調査を実施した。国内調査は、国内4年制大学を対象に、過去15年程度のタイムスパンにおける教養教育の改革状況に関し、カリキュラム面と実施組織の両面からの改革状況を中心にしたアンケート調査を実施した。これは2003年に実施した調査と後継であり、ある程度同じ質問項目を用い、経年比較することを目的とするものである。その結果、カリキュラム面では、教養教育における大学教育への適応支援の科目がさらに増加し、教養教育が高校と大学との接続のための教育として用いられていること、他方で、2003年度調査では専門教育の学際化が進んでいたが、今回はむしろ専門教育の高度化が目指されていた。組織面では、教養教育の実施担当組織を設ける大学が増加傾向にあり、大綱化からの揺り戻しが生じているようである。香港調査では、香港大学、香港中文大学、香港科学技術大学、嶺南大学を訪問し、2012年の大学の4年制化にともなって導入が義務付けられた一般教育がどのように機能しているかについて、関係者へのヒアリングを実施した。導入の決定は2008年になされたが、4年間の猶予のなかで、どの大学もアメリカ、イギリスなどの大学を訪問し、どのような一般教育を構築するかの研究がなされて、どの大学も学際的カリキュラムの構築に注力されたこと、一般教育を担当を促進するために、departmentへの割り当てとともに担当することに対する補助金の付与を行い、インセンティヴを高める工夫をしていることが明らかになった。教員に対する一般教育担当のインセンティヴを高める方法は大学によって異なるものの、この工夫が一般教育の定着に寄与していると考えられる。

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