著者
鈴木 宏昭 杉谷 祐美子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.154-166, 2012 (Released:2013-01-16)
参考文献数
73

本論文では大学生のレポートライティングにおける問題設定に注目して, その援助の可能性を探究した。問題設定は気づき, 洗練, 定式化の3つのプロセスからなり, この各々のプロセスで支援の可能性が存在する。気づきについては文献の批判的読みと直感的判断が重要である。これらを援助することでよりよいレポートが作成される可能性が高まる。洗練の段階では図的にあるいは言語的に自らのアイディアを外化することでレポートの質が向上することを示した。問題の定式化の段階では, 明確化, 普遍化, 相対化の3つが必要となる。協調学習環境下の長期にわたるライティング実践の結果, 明確化と相対化は普遍化に比べて学習されやすいことが明らかになった。
著者
鈴木 宏昭 杉谷 祐美子
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.154-166, 2012

本論文では大学生のレポートライティングにおける問題設定に注目して, その援助の可能性を探究した。問題設定は気づき, 洗練, 定式化の3つのプロセスからなり, この各々のプロセスで支援の可能性が存在する。気づきについては文献の批判的読みと直感的判断が重要である。これらを援助することでよりよいレポートが作成される可能性が高まる。洗練の段階では図的にあるいは言語的に自らのアイディアを外化することでレポートの質が向上することを示した。問題の定式化の段階では, 明確化, 普遍化, 相対化の3つが必要となる。協調学習環境下の長期にわたるライティング実践の結果, 明確化と相対化は普遍化に比べて学習されやすいことが明らかになった。
著者
吉田 文 杉本 和弘 杉谷 祐美子 姉川 恭子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2017年度は、国内調査と香港の訪問調査を実施した。国内調査は、国内4年制大学を対象に、過去15年程度のタイムスパンにおける教養教育の改革状況に関し、カリキュラム面と実施組織の両面からの改革状況を中心にしたアンケート調査を実施した。これは2003年に実施した調査と後継であり、ある程度同じ質問項目を用い、経年比較することを目的とするものである。その結果、カリキュラム面では、教養教育における大学教育への適応支援の科目がさらに増加し、教養教育が高校と大学との接続のための教育として用いられていること、他方で、2003年度調査では専門教育の学際化が進んでいたが、今回はむしろ専門教育の高度化が目指されていた。組織面では、教養教育の実施担当組織を設ける大学が増加傾向にあり、大綱化からの揺り戻しが生じているようである。香港調査では、香港大学、香港中文大学、香港科学技術大学、嶺南大学を訪問し、2012年の大学の4年制化にともなって導入が義務付けられた一般教育がどのように機能しているかについて、関係者へのヒアリングを実施した。導入の決定は2008年になされたが、4年間の猶予のなかで、どの大学もアメリカ、イギリスなどの大学を訪問し、どのような一般教育を構築するかの研究がなされて、どの大学も学際的カリキュラムの構築に注力されたこと、一般教育を担当を促進するために、departmentへの割り当てとともに担当することに対する補助金の付与を行い、インセンティヴを高める工夫をしていることが明らかになった。教員に対する一般教育担当のインセンティヴを高める方法は大学によって異なるものの、この工夫が一般教育の定着に寄与していると考えられる。
著者
杉谷 祐美子 白川 優治 小島 佐恵子
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、50%の進学率に達する現代日本の大学・大学生・大学政策へのイメージや社会的期待を明らかにするため、90年代以降の大学・大学生に関する雑誌記事の変遷を分析するとともに、一般市民を対象に大学・大学政策等に関する質問紙調査を行った。その結果、雑誌によって大学の問題点が過度に強調される反面、一般市民は大学の効用を認め、進学への潜在的需要に対応できるよう公的財政支援の増大を望むことを明らかにした。
著者
山田 礼子 木村 拓也 井ノ上 憲司 森 利枝 舘 昭 吉田 文 西郡 大 園月 勝博 相原 総一郎 沖 清豪 杉谷 祐美子 田中 正弘 安野 舞子 渡辺 達雄
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果は、(1)KCSS(韓国版大学生調査)を24年に実施し、日韓のデータ結合により分析、(2)日本では、平成25年まで、延べ866大学・短大から約14万人がJFS、JCSSとJJCSSに参加するなど標準的調査が根付いた。(3)24年には中国版CSSが試行され、25年には、上海市で中国版CSSの実施へと進展し日本発の標準的調査のアジアでの展開への基盤が形成されつつある。(4)2014年末までに、14万人のデータを格納し、参加大学が利用できるデータベースを開発、(5)日本のカレッジ・インパクト研究を下記で示す理論モデルにまとめたという5点が挙げられる。