- 著者
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坂 志朗
宮藤 久士
河本 晴雄
石山 拓二
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2006
固体バイオマスは石油や天然ガス等と比較してかさ高く、輸送や貯蔵等の取り扱いには不便である。このため、林地残材や廃木材などの多くが未利用のまま廃棄されており、これらの有効利用が望まれる。一方、超臨界流体は新たな化学反応場として注目を集めている。物質は温度と圧力条件により、気体、液体、固体で存在するが、臨界点を超えると超臨界状態となり、気体分子と同等の大きな分子運動エネルギーと液体に匹敵する高い密度を兼ね備えた高活性な流体となる。また、超臨界流体では化学反応の重要なパラメータであるイオン積や誘電率を温度、圧力によって大幅に制御できる。そこで本研究では、超臨界流体のもつ特異性を活用して、バイオマス資源をバイオアルコールに可溶化させることで、新規な液体バイオ燃料を創製することを試みた。これによってかさ高く取り扱いにくい固体バイオマスを、取り扱いやすく貯蔵しやすい液体バイオ燃料に変換することが可能となる。すなわち、各種超臨界アルコールの温度、圧力、処理時間と液化物への変換率の相関について検討し、超臨界流体による最も効果的な高効率液化条件を見い出し、アルコール可溶部を液体バイオ燃料として分離回収する方策を検討した。その結果、メタノール、エタノールおよび1-プロパノールのような低分子量のアルコールでは、350℃、20-30分の処理で95%程度液化物が得られた。一方、1-オクタノールや1-デカノールのような比較的高分子量のアルコールでは、350℃、数分までの処理で液化がほぼ完了した。しかし、液化物の分子量が大きく、液体燃料としての利用には何らかの付加処理による低分子化が必要であることが判明した。本液化機構については、ほぼその全容が明らかとなり、今後アルコール可溶部の液体バイオ燃料としてのポテンシャルを明らかにして行く。