著者
安東 宏徳 服部 淳彦 西村 正太郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,単一LH細胞を用いてLHの合成と放出のバランスをとる分子メカニズムを明らかにすることである。まず始めに,溶血プラークアッセイ法を用いてサクラマスの下垂体初代培養細胞から単一LH細胞を同定すると共に,LH放出活性の定量系を確立した。また,単一LH細胞のLH合成活性を測定するため,LHβサブユニットのmRNA定量系をリアルタイムPCR法を用いて確立した。最小検出感度は約100コピーであり,単一細胞中のLHβサブユニットmRNAの定量には十分の感度を持っていた。また,遺伝子の転写活性を測定する系として,ヘテロ核RNAを検出するリアルタイムPCR系を検討した。単一細胞のヘテロ核RNAの測定には最小検出感度に近いレベルでの精度のよい測定が必要であることが分かり,より精度よく安定して測定できるようにさらなる条件検討を行うことが必要である。サクラマスを非産卵期と産卵期前に採集し,単一LH細胞の合成と放出の解析系を用いて性成熟段階の異なる魚におけるバランス制御系の機能の違いを調べた。溶血プラークアッセイによって同定されたLH細胞の数は,非産卵期の魚は産卵期前の魚に比べて少なく,放出活性が低かった。また,リアルタイムPCR法によって測定したLHβサブユニットのmRNAも非産卵期では低かった。しかし,GnRHに対する反応性を調べると,非産卵期ではGnRH投与により放出と合成の活性が上昇したが,産卵期前では放出は高まったが合成は変化しなかった。産卵期前ではLHβサブユニット遺伝子の発現調節に関わる細胞内シグナル伝達系のGnRH応答性が変化することが示唆された。次に,ディファレンシャルディスプレイ法の一つであるGeneFishing法を用いて,両時期のLH細胞の間で発現量の異なる遺伝子の探索を行ったが,これまでのところ候補遺伝子は得られていない。使用した任意プライマーの数が少ないためと考えられる。

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こんな研究ありました:ホルモン合成と放出のバランス制御機構:単-LH細胞を用いた解析(安東 宏徳) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/18570060
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