- 著者
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乾 賢一
矢野 育子
増田 智先
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2006
研究代表者等はこれまでに、生体肝移植患者において、シクロスポリンやタクロリムスの標的分子であるカルシニューリンの酵素活性が、これら薬物の免疫抑制効果の指標となり得ることを明らかにしてきた。本研究では、臨床応用可能な迅速かつ高感度な新規カルシニューリン活性測定法の開発を目指して、ELISA法を用いた測定系について検討した。現在までに、カルシニューリンの特異的基質であるリン酸化RIIペプチドに対する抗リン酸化ペプチド抗体の作成に成功し、さらに抗体の特異性が確認された。続いて、抗リン酸化RIIペプチド抗体をプレートに固相化し、FLAG付リン酸化RIIペプチドを標準物質として、サンドイッチELISA測定系を確立した。FLAG付リン酸化RIIペプチドの定量性は、0.125-4ng/mLの範囲であった。本法は、カルシニューリンによるリン酸化RIIペプチドの脱リン酸化反応(ステップ1)と、FLAG付リン酸化RIIペプチドによる反応終了液中に含まれるリン酸化RIIペプチドの定量(ステップ2)を行うことを特徴とし、反応前後のリン酸化RIIペプチドの物質収支からカルシニューリンの脱リン酸化活性が算出できる。本年度は、リン酸化RIIペプチド定量のための条件検討を実施した。まず、ステップ1の停止液のステップ2に対する影響を調べた結果、常用の5%トリクロロ酢酸/0.lMリン酸二水素カリウム溶液を用いた場合、FLAG付リン酸化RIIペプチド(4ng/mL)の検出が不可能であった。そこで次に、5mM EGTA(カルシニューリンの阻害剤)をステップ1の停止液として用いた場合、ステップ2には影響せず、FLAG付リン酸化RIIペプチドの検出が可能であることが示された。今後、開発したnon-RI ELISA測定系の臨床応用に向けて、カルシニューリン活性測定の最適化及び全自動化を目指す予定である。