著者
近藤 尚己 石川 善樹
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

慢性疾患における健康格差の是正は地球規模の公衆衛生課題であり、社会経済弱者への効果的な介入手段の開発が求められている。行動科学研究により、人はストレス状況下にあると、強い認知バイアスにより衝動的な選択をしやすいことが明らかになってきており、この傾向は企業のマーケティング活動において購買行動を引き起こす目的で日常的に応用されている。これまで行動変容における負の側面と考えられてきた認知バイアスを、保健の目的においてむしろ積極的に活用して、望ましい行動変容(初期選択とその習慣化)を起こすことが可能と考え、現在その理論化と介入手法の収集を進める。保健サービスの企業や行政部門との連携により実証を進め、健康格差の是正に向けた新しい公衆衛生の介入モデルを確立する足がかりを作る。申請時、①システマティック・レビューと理論化 ②既存データを用いた「自然実験」分析 ③クラスター化比試験の3段階の計画を立てた。①について、初年度は、当初の予定通り、健康行動の変容に活用できそうなマーケティング技術やその事例を収集した。②について、安価でアクセスのよい健診サービスの提供を展開するケアプロ株式会社の協力を受け、過去2年分、110のパチンコ店での320回分の健診業務の営業データを借用し、東京大学倫理審査委員会の承諾を経て分析した。28年度は「③クラスター化比試験」について、調査フィールドとして足立区を選定し、区および地元の飲食店26店舗と協力して、「野菜ましメニューを食べるともれなく50円引き」とする少額インセンティブによる、野菜摂取量の社会階層格差縮小効果を検証する研究を行い、キャンペーンにより野菜ましメニュー注文者1.5倍、店の売り上げ1.7倍という結果を得た。またキャンペーン中はキャンペーン前より低所得者、非正規雇用者の野菜ましメニュー注文割合が増えたという結果を得た。

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こんなゲスい発想を 「スマートに」「理知的に」書き連ねれば こんな立派なとこに載せても文句言われないなんて 根底にある発想は 「AV強要『合法』社会」 「『善意』に基づくデートレイプ加担への共感に溢れる社会」 と変わらんというの… https://t.co/eLAtK3LtZm
認知バイアス利用で効果でても、バイアスの強化や放置は新たな問題生むんじゃないですかね https://t.co/ovBM0hhjay
これ私も最近知りました。科研も通ってるんですよね。金銭や物品を誘引にするのと女性の性的魅力を誘引にするのとでは質が異なり、後者は倫理的問題が大きいと思うのですが、この分野でどう考えられているのか気になります。… https://t.co/BjBOLAuJ6I

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