著者
小野 芳彦 山田 尚男 池田 研二 斎藤 正男 山田 尚勇 大岩 元 小野 芳彦
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

前年度までの研究で、日本文の入力作業を大脳半球の言語作業優位性と操作空間作業優位性の問題としてとらえることの妥当性を実験的に検証した。本年度は最終年度であるため、研究のとりまとめを中心とした。1.操作空間作業であるタイピング作業を操作空間的に学習させるTコード練習システムの有効性を、獲得したコードの打鍵誤りの分析から示した。これは、コードの記憶誤りが記憶の空間的な構造を反映して特異な偏りを示すことを説明できるものである。2.Tコードの練習過程におけるコードの獲得を含めた習得経過のモデル化と、モデルの適用による練習文の評価をおこなった。文字をみてコードを打鍵することの繰り返しがコードの獲得につながる。一般的に、肉体的あるいは認知的作業速度の上達は繰り返しの回数の定数乗に比例するという法則を満たすが、打鍵速度の上達も、個々の文字の打鍵について同じ法則を適用して説明できることを示した。ただし、短期記憶に保持されたコードが再利用されない場合に限られる。初期の練習ではその保持できる文字数が2であることが観測された。ここで、練習文に同じ文字や文字列パターンの繰り返しがあると、それらは短期記憶に貯められ、コード獲得には役立たないことが示唆される。3.上記のモデルから、濃密ではあるが短期記憶に保持できないパターンの練習文を設計した。この新しい練習文による打鍵実験を新たな被験者に対して行ない、モデルの検証を合せて行った。実験データーから、短期記憶の保持文字数が2ないし3であることの確認ができた。さらに、句読点の直後には、短期記憶の消去が伴いがちであること、すなわち、練習文の読み取りのために短期記憶が占有されてしまうことが確認できた。

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