著者
古賀 令子 北方 晴子 田中 里尚 濱田 勝宏
出版者
ファッションビジネス学会
雑誌
ファッションビジネス学会論文誌 (ISSN:13489909)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.67-77, 2011-03

ファッションとメディアは切っても切れない関係にある。しかし、近年の大きな社会変化の影響が、ファッションの環境や構造を大きく変貌させ、メディアも「紙媒体」依存からの脱皮を余儀なくさせつつある。ファッションとメディアとの関係も、従来モデルから大きく変化しつつある。本研究では、そうしたファッション環境変化の現状とその変化に適応しようとしているファッション・メディアの課題とを把握するために、研究者とファッション・メディア編集の実務者双方の観点から問題を提出し、それらを総合してファッションとメディアとの関係付置を整理して、メディアの現場が抱える問題と、メディア研究が今後目指していく課題とを明確化しようという試みである。基礎的研究と、共通認識を形作るための議論の場の<シンポジウムファッションとメディアを考える〉(2009) の過程で、浮かび上がったいくつかの課題を、中国ファッション誌の現在の状況をケーススタディとして検証した。外部からの先進情報の導入と読者の啓蒙、内なる丈化の醸成と発信というメディアの機能が再確認でき、インターネット情報が氾濫する時代において「紙媒体としてのファッション誌」の意味を再考する必要性が浮上した。
著者
佐藤 真理子 熊谷 伸子 小出 治都子
出版者
ファッションビジネス学会
雑誌
ファッションビジネス学会論文誌 (ISSN:13489909)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.11-20, 2016-03

袴は、腹部と胸l部を覆い紐で腰に結びつける形の和服の一種で、日本書紀にも記載のある本邦の伝統的民族衣装である。本研究では、袴の再評価と新たな展開を目指し、市場の現状調査、マンガ分析、機能性検討を行った。市場調査の結果、現代の袴に包含される衣服は多岐にわたり、その着用目的も異なるため、分類・定義確認と、各々の流通構造の明確化を要する現状が示された。マンガ分析においては、袴着装キャラクターの登場するマンガは一定数刊行されており、主なキャラクターは「武士・侍」と「学生」であった。現代の若者の袴着装シーンでは、日本の伝統文化の再認識につながる表現がなされていた。機能性検討の結果、温熱的快適性・姿勢保持性・下肢の自由度において、袴は高い機能性を持つことが明らかとなった。和装の主流たる着物(長着)が、その着装法から、ハレの場のみの限定的な衣服、日常生活から乖離した存在となっている現在、袴は、日常着にもなり得る機能性と快適性を備え、伝統文化の継承者、クールジャパンのアイコン、新しい和のモードとしての可能性を有することが示された。
著者
古賀 令子 北方 晴子 田中 里尚 濱田 勝宏
出版者
ファッションビジネス学会
雑誌
ファッションビジネス学会論文誌 (ISSN:13489909)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.67-77, 2011-03

ファッションとメディアは切っても切れない関係にある。しかし、近年の大きな社会変化の影響が、ファッションの環境や構造を大きく変貌させ、メディアも「紙媒体」依存からの脱皮を余儀なくさせつつある。ファッションとメディアとの関係も、従来モデルから大きく変化しつつある。本研究では、そうしたファッション環境変化の現状とその変化に適応しようとしているファッション・メディアの課題とを把握するために、研究者とファッション・メディア編集の実務者双方の観点から問題を提出し、それらを総合してファッションとメディアとの関係付置を整理して、メディアの現場が抱える問題と、メディア研究が今後目指していく課題とを明確化しようという試みである。基礎的研究と、共通認識を形作るための議論の場の<シンポジウムファッションとメディアを考える〉(2009) の過程で、浮かび上がったいくつかの課題を、中国ファッション誌の現在の状況をケーススタディとして検証した。外部からの先進情報の導入と読者の啓蒙、内なる丈化の醸成と発信というメディアの機能が再確認でき、インターネット情報が氾濫する時代において「紙媒体としてのファッション誌」の意味を再考する必要性が浮上した。
著者
平松 隆円
出版者
ファッションビジネス学会
雑誌
ファッションビジネス学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.15, pp.33-42, 2010-03

This research was conducted using a questionnaire survey involving 628 male and female university students with the following two objectives: 1)Identify the relationship between the perception of social rights and wrongs as a standard for "makeup behavior" in public,and to what degree people actually engage in "makeup behavior" in public. 2)Investigate the relationship of how differences in self-consciousness and other-consciousness plays a role in "makeup behavior" in public,and their perception of it in relation to social rights and wrongs. Summarizing the results, "makeup behavior" in public and perception of social rights and wrongs were affected by the presence of strangers or non-strangers. Both the men and women who perceived that "makeup behavior" in relatively public places in the presence of strangers was socially acceptable were also prone to engage in makeup application,regardless of the presence of strangers or non-strangers. " Makeup behavior" in public and the perception of social rights and wrongs were influenced by public self-consciousness in men,and external another person-consciousness in women.
著者
小野 幸一 孫 珠煕 宮武 恵子
出版者
ファッションビジネス学会
雑誌
ファッションビジネス学会論文誌 (ISSN:13489909)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-66, 2010-03

ファッションを学んでいる女子学生を対象に意識・行動に関してアンケート調査を行い分析した結果、名古屋、京阪神、九州の3地域には地域性があることが明らかとなった。1)一か月のこづかいは、名古屋、京阪神では約4万円であるが、九州では約2万5千円である。被服費として名古屋、大阪で約半額の2万円、九州では約1万円支出している。2)定期購読ファッション雑誌では、名古屋はギャル系ファッション志向が強い。京阪神、九州は元祖赤文字系、ストリート、モード系の各志向の雑誌が読まれている。九州での1位はヤングベーシック系non-noである。名古屋、九州での憧れの女性有名人第1位はギャル系の象徴である浜崎あゆみであるが、九州ではTOPlOには入っていない。3)好きなへアースタイルでは名古屋がボリュームのあるゴージャスなスタイルの割合が高い
著者
北方 晴子
出版者
ファッションビジネス学会
雑誌
ファッションビジネス学会論文誌 (ISSN:13489909)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.183-192, 2006-03

イタリア未来派は1909年にマリネッティMarinetti,T.E(1876~1944)を指導者として始まった芸術運動である。過去の遺産や伝統的な価値と対立し、新時代に相応しい生活と様式を創造しようと衣装についても強い関心を抱き、特にメンズファッションを巡っては革新的な改革を提唱した。メンズファッション改革を中心的に進めたバッラBalla,G(1871-1958)は1914年5月にLe vetementmasculine futuriste manifeste(未来派男性衣装宣言)を発表し、同年9月にII vestito antineutrale manifesto futurista(未来派反中立衣装宣言)を発表した。タイアートThayaht,E.(1893-1959)は1932年のManifesuto per la transformazione dell'abbigliamento-maschile(男性衣装変革宣言〉を発表し、1933年未来派グループによりII manifesuto futurista del cappelo italiano(イタリア帽子未来派宣言)、Manifesto futurista sulla cravatta italiana(イタリアネクタイ未来派宣言)が発表された。当初としては非常に新しい美意識を持っており、その独特な発想は今日でも高い関心が持たれている。他方、1914年7月第1次世界大戦が勃発し、次第にファシズムへと導かれ参戦へと向かう。未来派は活動の中心を芸術から政治へと移行し、ファシズムに傾斜していった。この時期にタイアートら未来派の活動は活発化していく。男性至上主義的な考え方を推進するファシズムこそ男らしさを強調する文化であり、そうしたファシズム美学を支えたひとつにイタリア未来派があった。すなわち、彼らが取り組んだ試みは男らしさを強く主張する表象であった