著者
丸山 道生 栢下 淳 高見 澤滋 渡邉 誠司 高増 哲也 東口 髙志
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.310-316, 2019 (Released:2020-06-15)
参考文献数
13

本邦では2019年末より,現行の経腸栄養用誤接続防止コネクタである医薬発第888号広口タイプコネクタ(以下,現行コネクタと略)が廃止され,誤接続防止コネクタに係る国際新規格であるISO80369-3(以下,ISOコネクタと略)が導入される.ISOコネクタのオス型コネクタは内腔の最小口径が狭いため,ミキサー食の注入に際し,注入圧の上昇によって注入が困難になる懸念がある.今回,小児病院3施設それぞれにおいてミキサー食の胃瘻注入を行っている患児の家族3名,看護師3名の計6名に対し,各施設の標準的ミキサー食の注入を行い,現行コネクタとISOコネクタの比較を行った.同時に,用いたミキサー食の物性も検討した.注入実験において,観察項目のミキサー食の投与時間,シリンジ持ち替え回数,主観的評価の「負担感」と「問題なく使用できるか」,いずれにおいても現行コネクタとISOコネクタで統計学的な有意差は認められなかった.この結果から,ISOコネクタでのミキサー食の注入は現行コネクタと変わりなく可能と判断された.
著者
小塚 明弘 舘 佳彦 望月 能成
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.60-69, 2019 (Released:2019-10-30)
参考文献数
26

【目的】胃がん患者に対して胃切除術後の外来栄養指導による体重減少防止効果について検討した.【対象と方法】1)胃切除患者に対して継続的に体重減少防止のための外来栄養指導を前向きに行った55例(以下,指導群)と胃切除患者で外来栄養指導が未受講で術後6カ月の体重を後ろ向きに評価できた53例(以下,対照群)を対象として,術後6カ月の体重減少率を検討した.2)指導群と対照群108例を対象として,術後6カ月の体重減少率10%未満に関する臨床的背景を多重ロジスティック回帰分析にて検討した.【結果】1)術後6カ月の体重減少率は,指導群9.6%,対照群13.3%と指導群が有意に少なかった(p<0.005).2)多重ロジスティック回帰分析にて,栄養指導の受講有(Odds ratio;以下,ORと略 3.495, p=0.007),ステージI(OR 2.823, p=0.027),胃部分切除(OR 8.078, p<0.001)が術後6カ月の体重減少率10%未満の独立した因子であった.【結論】胃がん切除後の外来栄養指導を行った結果,栄養指導介入群で体重減少防止効果が認められた.
著者
矢澤 貴 大竹 悟史 赤澤 直也 小山 淳 柹田 徹也 土屋 誉
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.122-127, 2019 (Released:2020-02-05)
参考文献数
22

【目的】介護老人保健施設(以下,老健と略)における入所者の喫食状況や血中ビタミン濃度に関する報告は極めて少なく,その実態は十分に分かっていない.そこで,老健で食事内容と喫食率の調査を行い,さらに栄養補助食品を提供した場合の影響を検討した.【方法】参加に同意を得ることができた入所者18名を対象とした.食事に加え,28日間,1日1本,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6(以下,VB6と略),ビタミンD(以下,VDと略)を強化した栄養補助食品を追加提供し,介入前後の各種血中ビタミン濃度について前後比較を行った.【結果】喫食率は90%以上であり,ビタミンの食事からの摂取量は十分であったにも関わらず,VB6で6名(33.3%),VDで18名(100%)が基準値を下回っていた.介入後,それらは有意に高値となり,基準値未満の入所者は,VB6で1名(5.6%),VDで5名(27.8%)まで減少した.【考察】VB6およびVDは食事からの提供量を増量することが望ましいと考えられ,その手法として栄養補助食品の提供が有用であると考えられた.