著者
高橋 徹 松下 正明
出版者
信州大学附属図書館
雑誌
信州大学附属図書館研究
巻号頁・発行日
vol.9, pp.145-173, 2020-01-31

作家・北杜夫(1927-2011年)は、純文学『幽霊』『夜と霧の隅で』、大河小説『楡家の人びと』『輝ける碧き空の下で』、旅行記・随筆『どくとるマンボウ航海記』『どくとるマンボウ青春記』、ユーモア小説『船乗りクプクプの冒険』『さびしい王様』、評伝『茂吉評伝四部作』など、多彩なジャンルの代表作をもつ。本論では、これら主要な作品群を、おおまかに「自伝的小説」「異国小説」「エッセイ」「ユーモア小説」に分類した。この四つのジャンルの作品は、双極性障害が顕在発症した39歳以前に、それぞれ初期作品が創作されており、作家としての長いキャリアの萌芽は、作家活動の初期には確立されていたと考えられていた。また各領域が相互に影響を及ぼすことで新たな創作につながったものと考えられた。晩年の小説『巴里茫々』は、「自伝的小説」「異国小説」「エッセイ」の要素が投入された重要作品の一つであることを指摘した。
著者
高橋 徹 松下 正明
出版者
信州大学附属図書館
雑誌
信州大学附属図書館研究 (ISSN:21867593)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.57-87, 2019-01-31

作家・北杜夫(1927-2011年)の双極性障害は、39歳時の躁病エピソードが初発とされているが、それ以前の時期にも、気分変動が存在していた可能性がある。本論では、この顕在発症前の時期に焦点をあて、その精神状態と創作との関連性を考察した。辻邦夫との往復書簡集を主な資料として、『どくとるマンボウ航海記』執筆前後の1959-1960年(32-33歳)頃の精神状態を推察した。この時期には既に、躁状態やうつ状態もしくは混合状態を呈していた可能性が高く、これらの精神状態が初期作品の創作に大きく関与しているものと考えられた。特に、意欲・活動性のベクトルが上昇に転じる「うつ病相(うつ状態)の後期」が、執筆活動には適した時期であった可能性を指摘した。また同作品が、それまでの文壇にはなかった独自性と新規性を有していることにも言及した。
著者
征矢 一男
出版者
信州大学附属図書館
雑誌
信州大学附属図書館研究 (ISSN:21867593)
巻号頁・発行日
no.3, pp.75-85, 2014-01-31

信州大学附属図書館研究. 3: 75-85 (2014)
著者
福江 良純
出版者
信州大学附属図書館
雑誌
信州大学附属図書館研究
巻号頁・発行日
vol.9, pp.97-104, 2020-01-31

木曽における石井鶴三の業績には、島崎藤村木彫刻制作事業を第一として、そこから派生するように取り組まれた木曽馬像制作事業がある。数年に亘ってなされた藤村木像に比べ、木曽馬像はわずか8日間に2体の粘土原型が成るという短期の事業であった。しかしながら、馬という動物に対する石井の思いの深さは、同じく生涯愛してやまなかった山の高さに匹敵するものがあり、加えて木曽人の木曽馬に対する心を知るに及ぶ時、作品木曽馬からは時空を超えた広がりが現れる。本稿は、本誌第八号上の写真家基敦氏による小論「木曽馬の記念写真に見る創造性―演戯する意識を失った現代とは―」で注目された集合記念写真に関し、その後に判明した事実を補完するとともに、木曽人と木曽馬の絆の奥行きを記すものである。
著者
文平 玲子
出版者
信州大学附属図書館
雑誌
信州大学附属図書館研究
巻号頁・発行日
no.6, pp.79-90, 2017-01-31
著者
文平 玲子
出版者
信州大学附属図書館
雑誌
信州大学附属図書館研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.79-90, 2017-01-31