著者
高橋 徹
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.7-16, 2015-06-25 (Released:2016-02-27)
参考文献数
59
被引用文献数
4 2

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は,2011年に中国から報告されたフレボウイルス属のSFTSウイルス(SFTSV)による新興ウイルス感染症で,マダニ媒介性感染症と考えられている.日本国内においては2013年1月に初めての患者が確認されて以来,現在までに100名以上の患者が確認されている.SFTSVは以前から日本に存在し,かつ国内の広い範囲に分布することも分かってきているが,なぜ患者が西日本に偏在するのかは未だ不明である.SFTSの臨床像は,発熱,血小板減少,白血球減少,消化器症状のほかに,筋症状,神経症状,凝固異常など多彩であり,しばしば血球貪食症候群を合併する.病理学的にはウイルス感染細胞の増生を伴う壊死性リンパ節炎が特徴的所見である.急性期の血中ウイルス量や炎症性サイトカインの変動,感染動物モデルによる病態解析の研究も進捗しつつある.本稿では,日本におけるSFTS発見から現在までを概説し,SFTSの臨床および疫学的知見とSFTSV感染についてのウイルス学的知見について総説する.
著者
古崎 晃司 上田 洋 高橋 徹
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.620-625, 2016-06-15

最近,シビックテック(Civic Tech)と呼ばれる市民(=Civic)がIT技術(=Technology)を活用して地域課題を解決しようという取り組みの広がりがある.オープンデータは,シビックテックにおいて活用されることが多く,両者を連携した活動も各地で行われている.これらの取り組みは,LOD技術の普及活動とも相まって様々な展開が見られている.本解説では,関西を中心としたLOD技術の普及活動とシビックテック活動の経験を踏まえ,LODという新しい技術の普及活動を進めていく上で,シビックテックとの関わりから得た知見を活動事例と共に報告する.
著者
堤 裕昭 岡村 絵美子 小川 満代 高橋 徹 山口 一岩 門谷 茂 小橋 乃子 安達 貴浩 小松 利光
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.291-305, 2003-05-05
参考文献数
33
被引用文献数
27

九州西岸の有明海奥部海域において,近年夏季に発生する底層水の貧酸素化現象および頻発する赤潮の発生メカニズムを解明するため,2001年8月より2002年2月まで毎月1回,水質調査を行った。本調査期間中,8月上旬に底層で貧酸素水塊が,11月に珪藻赤潮がいずれも大雨の後に発生し,その発生過程を次のようにまとめた。1.夏季の貧酸素水塊 梅雨期の大雨→河川からの大量の淡水の流入→表層の塩分低下による成層構造の発達・夏季の気温上昇に伴う水温の成層構造の発達→底層水の貧酸素化 2.秋季の珪藻赤潮 秋季の大雨→河川からの大量の淡水の流入・大量の栄養塩の供給→低塩分・高栄養塩濃度の表層水の形成→赤潮の発生 1998年以降,秋季の赤潮は大規模化する傾向が認められる。有明海奥部海域では,塩分や水温による成層構造が発達した時に,海水交換に大きな変化が生じ,海水が滞留しがちになることで赤潮が発生している可能性が指摘される。
著者
谷口 将一 紀平 一成 高橋 徹 小西 善彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.53, pp.7-12, 2012-05-17

海洋レーダ等,見通し外領域までの観測を行うため, HF帯以下の周波数を用いる.このとき,波長が長くなるためアンテナ開口径が大きくなり,小型化が必要である.小型化の一つの手法として,スーパーディレクティブアレーの適用が考えられるが,実際は素子間相互結合に起因したアクティブ反射係数による反射損が大きい.本報告では,素子間相互結合を考慮し,反射損を定量的に評価し,信号対雑音電力比(SNR)との関係から,システムとしての成立性の確認を行った.その結果,反射損を考慮したSNRの劣化は小さいことを確認した.また,アンテナ開口径を拡大させずにサイドローブレベルを低減する構成を提案した.以上の検討より, HF帯受信アンテナとしてスーパーディレクティブアレーが適用できる可能性があることを確認したので報告する.
著者
高橋 徹 入野 俊夫 河原 英紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.571, pp.31-36, 2006-01-19
被引用文献数
1

多様な発話変換・合成を記述できる音声テクスチャマッピングモデルを提案する. 提案するモデルは, 音声を特徴づける骨格となるワイヤフレームに発話スタイルや話者性を表わすテクスチャをマッピングする枠組みによって音声を表わす. ワイヤフレームやテクスチャは, 統計的にあるいは, 発話事例から求めることができる. このモデルは, 画像分野で用いられるテクスチャマッピングを音声に適用したモデルである. 一般に, 発話変換は, スペクトルに対する演算と変形によって実現される. テクスチャマッピングの枠組みを用いて演算と変形を取り扱う仕組みについて述べる. ワイヤフレームにどのようなテクスチャをマッピングするかによって多様な発話スタイルを表現できることを示す. また, 様々な発話スタイルの音声を合成できることを示す. 最後に, ある発話に基づいてワイヤフレームを生成し, テクスチャをマッピングすることで発話変換を行うことができることを示す.
著者
深見 嘉明 小林 巌生 嘉村 哲郎 加藤 文彦 大向 一輝 武田 英明 高橋 徹 上田 洋
雑誌
研究報告 デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011-DD-79, no.1, pp.1-8, 2011-01-14

Web of Data というコンセプトのもと,ウェブ上で計算機処理可能なデータを分散的に生成し,それを互いにリンクさせることにより,共有財としてのデータベース資源を確立するという試み,それが Linked Open Data である.その特質を活用し,これまで行政が単独で担ってきた情報収集,分析とそれを生かした政策実現,住民サービス実施を分担するという試みが始まっている.本論文では,住民コミュニティと行政の連携を通じたボトムアップ型オープンガバメントの試みについて紹介し,ウェブ標準技術が共有財の創出と受益者の拡大にどのように貢献できるかについて検討する.
著者
武田 英明 嘉村 哲郎 加藤 文彦 大向 一輝 高橋 徹 上田 洋
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

本発表ではLinked Dataをいかに日本で普及させていくかについて課題を述べると共に著者の活動を紹介する。著者らはLODAC Projectという日本のデータをLinked Dataとして公開する活動を行っている。その一つとして現在取り組んでいる芸術情報のLinked Dataについて紹介する。
著者
日下 航 尾形 哲也 小嶋 秀樹 高橋 徹 奥乃 博
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.532-543, 2010 (Released:2012-01-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

We propose a model of evolutionary communication with voice signs and motion signs between two robots. In our model, a robot recognizes other's action through reflecting its self body dynamics by a Multiple Timescale Recurrent Neural Network (MTRNN). Then the robot interprets the action as a sign by its own hierarchical Neural Network (NN). Each of them modifies their interpretation of signs by re-training the NN to adapt the other's interpretation throughout interaction between them. As a result of the experiment, we found that the communication kept evolving through repeating miscommunication and re-adaptation alternately, and induced the emergence of diverse new signs that depend on the robots' body dynamics through the generalization capability of MTRNN.
著者
八幡 正弘 黒沢 邦彦 大津 直 高橋 徹哉 戸間替 修一 川森 博史 毛利 元躬
出版者
資源地質学会
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-16, 1994-02-28
参考文献数
21
被引用文献数
3

Terrestrial volcanic products and lacustrine deposits of Middle Miocene to Pliocene age are widely distributed in the Monbetsu-Kamishihoro Graben which belongs to the Kuril Inner Arc. The Seta deposit located in the southern extremity of the Graben is classified into a hot spring gold deposit, based upon the modes of occurence.<BR>In the Seta mine area, Middle Pliocene lacustrine deposits of the Ashoro Formation which were accumulated in the Tokachi Basin unconformably covers Late Miocene to Early Pliocene terrestrial volcanic products of the Horokapiribetsugawa Formation. The lacustrine deposits are composed of sandstone, mudstone and siliceous deposits associated with a hot spring gold mineralization. A wide variety of sedimentary structure of the lacustrine deposits is observable in this area ; for detailed investigation, a logging of 80 meters of new diamond drill core (GSH-91-1) was necessary, which revealed the sedimentary structure of the basal part of the deposits and the relationship of the Horokapiribetsugawa and the Ashoro Formations. Siliceous deposits have been divided into 5 types, S-I to S-V. Silica is deposited as silica sinter (S-I) on land and/or temporally on shore near the water line, and also conducted into the cold lake water by the thermal water as a thin bedded siliceous deposit (S-II), because the silica gelation quickly proceeds under the influence of current or wave. The hydrothermal eruption broke up the underlying rocks for breccias like a clastic dike and, as a result, scattered breccias, so-called hydrothermat explosion breccias (S-IV) and/or the accidental silica blocks (S-III) in tuff and sandstone. When the hydrothermal eruption took place intermittently in shallow water, silica was deposited as silica complex deposit with sandstone and conglomerate (S-V)<BR>The hydrothermal activity has been divided into seven stages (I to VII). In the Stage I, just prior to form the lake, the acid hydrothermal activity, began, resulting in the silicified and argillized zones in the Horokapiribetsugawa Formation. Stage II, is characterized by the prevalence of hydrothermal explosion breccias on the land of the northern edge of the lake. As mixing of the ascending acid thermal water with the cold groundwater or interstitial water in the basal part of the lacustrine deposits and the argillized rocks of the Horokapiribetsugawa Formation just under the surface of unconformity, adularia formed in sandstone and argillized tuff breccia with kaolin minerals as an alteration product. In the Stages III and V, the hydrothermal activity increased and silica was deposited on the land and/or on the bottom of the lake resulted in silica sinter, thin, bedded siliceous deposit and siliceous complex deposit. Stages IV and VI-1 are similar to Stage II. It may be inferred that the hydrothermal activity was carried on the shore of the lake or the land. In the Stage IV-2, the silica sinter which deposited to a thickness of about 2 meters on land. The hydrothermal activity has silicified to the surrounding rocks and has formed vertical and horizontal quartz veins in these rocks. In the Stage Vll, the hydrothermal activity was attenuated.<BR>These spots of the hydrothermal activity moved from north to south associated with the gold mineralization.
著者
川嶋 久義 高橋 徹
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.43-48,a2, 1995-01-01 (Released:2011-08-11)

平成6年は, 春からはほぼ全国的に降水量が少なく, 梅雨の短かかったことに加え, 西日本を中心にそれ以降も降水量の少ない状態が続いた。そのため, 全国各地で厳しい取水制限等が実施され, 国民生活や産業に大きな影響をもたらした。本報では, 全国的な小雨の状況, 渇水による被害の状況および政府の取組み, 各地域で実際に行われた対応策等について報告する。
著者
高橋 徹 松本 純
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.408-418, 1977-06-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
23
被引用文献数
1

肝硬変症ならびに先行病変の立体構造においては,実質域の三次元ネットワークが骨格をなしていることを既に発表した(肝臓;18/5, 1977).このネットワークの位相幾何学的性質を利用して病変の移行関係を解析する方法を考案した.それは臓器中のネットワークの連結数p1の総値を求め,これをパラメーターとして病型の遠近関係を推察する方法である.種々の型の慢性肝病変の6例にこの方法を適用し,とくに慢性肝炎から肝硬変症の成立過程を重点的に考察した.解析の結果,総p1値は前者で610万,乙型肝硬変で10万と推定された.この大きな差からみて,慢性肝炎から乙型への移行は構造の連続変形のみでは説明困難であり,肝壊死を媒介とする連結関係の離断が必要と考えられた.一方,門脈型肝硬変での総p1値は635万と慢性肝炎に近く,慢性肝炎からの像の連続変形すなわち「削り取り」的進展に際しては,この型の肝硬変に向うものと推察された.
著者
高木 浩一 猪原 哲 高橋 徹 杉山 敏樹
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.669-677, 2004-08-25
被引用文献数
2

Four scientific demonstrative presentations concerning a lightning are presented in this article. All presentations can be easily performed on the scientific events held in educational and/or research institutions, such as university, college, research center, elementary, secondary and high schools. The first topic is long gap discharge which shows the model of the lightning from lightning clouds to ground. The high voltage is generated using an impulse voltage generator, which consists five capacitors, gap switches, and dc high-voltage power supply. Human shaped wet sponges were employed in the presentation as a human-body. The second topic is turning-on a fluorescent lamp without direct power supply using Tesla coil as electromagnetic wave radiation source. We show not only some commercial products of Tesla coil but also show how to construct the Tesla coil with much higher output voltage than the merchandise. The third demonstration is a ball lightning using a microwave. Finally, we show a handicraft of small lightning generation on the name card using a piezoelectric crystal in an electric throwaway lighter.
著者
高橋 徹
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.620-634, 1999-03-30 (Released:2010-11-19)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本稿では, 近代西欧の歴史的な社会変動に対するニクラス・ルーマンの分析視角を明らかにしたい。ルーマンは, 社会の成層的分化から機能的分化への移行を近代社会変動の中心的なメルクマールと考えており, とりわけそこにおいて生じた複合性の増大がコミュニケーションを方向づける歴史的一文化的形成物 (ゼマンティク) の変化を刺激したことが, 近代におけるコミュニケーション的変動の媒介条件をなしているという仮説を構築している。この仮説は, 彼独自の社会システム理論の枠組みを基礎としている。「ゼマンティク」というタームには, ドイツにおいて蓄積されている歴史的意味論の研究との批判的接続を保持することが含意されており, 本稿では, この歴史的意味論の研究の文脈をも視野に入れつつ, ルーマンの「ゼマンティク」的変動の分析枠組みを彼の所説から再構成して明示化し, 歴史的な知識社会学的研究の枠組みとしての特質を明らかにしたい。
著者
高橋 徹 小林 亜樹
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.26, pp.1-8, 2009-11-13

Web 情報システムにおける情報推薦では,協調フィルタリング技術がしばしば用いられている.本稿では,その推薦精度が必ずしも高くない理由について分析する.分析には,MovieLens Data Set を用いる.協調フィルタリング技術の,類似した嗜好を持つユーザは,未知の商品などのアイテムにおいても同様の嗜好を示す,という仮定がどの程度正しいか分析する.その結果,この仮定が成り立たない場合が相当程度ある事を明らかにし,また,cold-start 問題として知られる,嗜好が蓄積されていない状況と似ている事を指摘する.その後,これらの問題に対処するための考察を進める.Collaborative filtering techniques are often used to Information recommendation in the Web information system. In this paper, the reason why the recommendation precision is not always high is analyzed by using the Movie Lens data set. We think that collaborative filtering technique is based on a fundamental assumption. It is, if users had similar preference in an item set, it will be same as in other item sets. We show that the assumption is not approved in a respectable degree with similarity distribution histogram. Moreover, it is pointed out that the situation is similar to the cold-start situation, because of the same situation about user preference data is not available to collaborative filtering. Afterwards, it is considered to deal with these problems.