- 著者
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高橋 徹
松下 正明
- 出版者
- 日本病跡学会
- 雑誌
- 日本病跡学雑誌 (ISSN:02858398)
- 巻号頁・発行日
- no.89, pp.65-80, 2015-06
本文の機関リポジトリ公開にあたって2020年3月に補遺を新たに作成したため、補遺は学会誌に掲載されていない。2009年に,がんで早逝したSF作家の伊藤計劃を対象として,特に伊藤氏の個人プログ『伊藤計劃 第弐位相』にある闘病に関する箇所を抜粋したうえで,「病と創作」をテーマに考察を行った。ストレス心理学における「コーピング」の概念,特に「考え込み型反応」と「気晴らし型反応」の概念を使うことで,がん闘病下における伊藤氏の心理的変遷を検討した。また「病と死」に対峙した心理状態が,創作に及ぼした影響に関しても検討した。「意識」と「死」に関する伊藤計劃の思想的基盤として,「進化心理学」の存在を指摘し,それらが『ハーモニー』の創作に与えた影響について考察した。