著者
岡元 行雄 長屋 昭義 松浦 和幸 福留 瑠美
出版者
兵庫県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

北淡町の地区別の特徴をまとめると、室津地区は一番祭りに熱心な地区であり、祭りを即座に復活させ、神社の再建も工事に着手しており、祭りを語る住民の熱心さは群を抜いている。育波も室津に次いで熱心で、厄年の加も熱心におこなっている。斗ノ内、浅野南、水越は室津ほどではないが、町をあげて熱心に取り組んでいる。富島や野島は激震地であっただけに、祭りの復活が十分ではなかったし、祭りを語る住民の熱意はあまり伝わってこなかった。祭りを通しての地域のまとまりは弱くなっている。平成14年度は野島地区を中心に調査を行った。野島神社は震災で全壊し、現在も仮神殿があるのみで再建の見通しは立っていない。隣のお寺も全壊したが、再建に向けて檀家で話し合いが続いている。神社よりもお寺の再建が優先されるのはどの地区も同じである。野島神社の氏子は野島8地区と仁井の舟木地区の9地区からなっている。壇尻があるのは江崎、平林、常磐、野島ひきの浦、舟木である。この2~3年野島神社の祭りが復活しており、野島神社のお膝元である野島ひきの浦の壇尻は祭りに参加することがあるが、他の地区は祭りに参加していない。震災で死者が出た地区ということもあり、また過疎化が進んだ地区ということもあり、祭りの復興はあまり進んでいない。この地区も、伊勢講、金比羅講、山浄講、天皇講などの宗教活動が盛んであるが、その宗教行事も、震災後に講を引き受けた家での開催から集会所へ場所を移動させたり、日曜日にまとめて開催したりと簡素化、スリム化を図った地区が目立つ。
著者
南 裕子 新道 幸恵 中西 睦子 山本 あい子 片田 範子 井伊 久美子 高橋 章子 中島 紀恵子 中山 洋子
出版者
兵庫県立看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、災害発生後の医療・看護ケア提供に必要な情報を蓄積し、かつ稼動可能な看護支援提供システムを構築することである。そのために研究活動は、1.資料・文献班2.災害拠点病院の現状調査、3.教育班、4.ネットワーク活動班、5.全体活動、で進め、以下の新たな知見を得た。1)災害関係資料・文献の収集・分析の結果、1995年発生した阪神・淡路大震災を境に質的・量的な変化が見られた。1995年以後は、被災者の体験や災害時の医療・看護の実態報告、マニュアル・テキスト、調査報告・研究論文等被災者支援を中心とした出版が増加していた。しかし、看護の視点で報告、考察したものは未だ少なかった。2)災害の種類や発災からの時期別等で検索できる災害看護文献検索システムを構築し、ホームページ上で公開した。3)看護職の需要が高い文献を調査し、「こころのケア」「発災時」各パッケージを作成した。4)災害拠点病院の看護部に対し災害への備えとしての準備状況を調査した。結果、看護部独自のマニュアルを作成している施設は半数に満たず、各施設の看護部間での情報共有が必要と考えられた。5)災害看護教育プログラムの開発に向け、看護教育者・臨床家と情報交換しつつカリキュラムモデルを作成した。6)災害時の看護ニーズを把握するために、災害発生地域の初期調査、初動調査、中・長期フォローアップ調査を実施し、災害時の看護ニーズアセスメントツール(精錬版)を作成した。7)ネットワーク活動メンバー対象の研修会の開催、研究成果の発表と国内外の看護職との情報交換を目的に、情報交換研修会、アジア諸国を中心とした災害看護国際会議を企画主催した。これらの研究成果から、災害看護関係情報の基地整備の必要性、国内外の看護職が災害看護ネットワークを構築することの有用性、災害看護教育の早期実施、普及の重要性が示唆された。