著者
高橋 章子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.209-224, 2009-09-30 (Released:2012-03-01)
参考文献数
36

主に英米圏において従来É. デュルケムは,社会秩序を,集団の価値観や信念が個人を拘束することで成立すると,論じたのだとみなされてきた.だが近年,これとは異なる解釈が提出されている.H. ガーフィンケルは,人々が互いに相互行為に参加することによって秩序が形成されるという見方を,デュルケムも採っていたと考えている.ガーフィンケルによって着目されたデュルケムのこのような側面とはどのようなものなのだろうか.本稿は,ガーフィンケルの提起を受け,これまで構造主義,客観主義の代表とみなされてきたデュルケムのうちに存在している,相互行為論との接点を示すことを目的としている.そのために『社会分業論』を中心に,デュルケムがどのような状態を秩序とみなしたかを検証した.デュルケムは,社会を個々人が相互に自由に形成するものと捉えていた.デュルケムのこの見方には,J.-J. ルソーからの影響が認められる.他方,現在でもデュルケム解釈に大きな影響を与えているT. パーソンズは,これとは別の社会形成の論理に則っているため,これまでデュルケムのこの側面に焦点があてられてこなかった.本稿は,T. ホッブズ「秩序問題」との関係を軸として,2つの社会形成の論理を比較することによって,ルソーから影響を受けたデュルケムの社会形成の論理が,根本的な点でガーフィンケルの相互行為論と共通性をもっていることを論じている.
著者
南 裕子 新道 幸恵 中西 睦子 山本 あい子 片田 範子 井伊 久美子 高橋 章子 中島 紀恵子 中山 洋子
出版者
兵庫県立看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、災害発生後の医療・看護ケア提供に必要な情報を蓄積し、かつ稼動可能な看護支援提供システムを構築することである。そのために研究活動は、1.資料・文献班2.災害拠点病院の現状調査、3.教育班、4.ネットワーク活動班、5.全体活動、で進め、以下の新たな知見を得た。1)災害関係資料・文献の収集・分析の結果、1995年発生した阪神・淡路大震災を境に質的・量的な変化が見られた。1995年以後は、被災者の体験や災害時の医療・看護の実態報告、マニュアル・テキスト、調査報告・研究論文等被災者支援を中心とした出版が増加していた。しかし、看護の視点で報告、考察したものは未だ少なかった。2)災害の種類や発災からの時期別等で検索できる災害看護文献検索システムを構築し、ホームページ上で公開した。3)看護職の需要が高い文献を調査し、「こころのケア」「発災時」各パッケージを作成した。4)災害拠点病院の看護部に対し災害への備えとしての準備状況を調査した。結果、看護部独自のマニュアルを作成している施設は半数に満たず、各施設の看護部間での情報共有が必要と考えられた。5)災害看護教育プログラムの開発に向け、看護教育者・臨床家と情報交換しつつカリキュラムモデルを作成した。6)災害時の看護ニーズを把握するために、災害発生地域の初期調査、初動調査、中・長期フォローアップ調査を実施し、災害時の看護ニーズアセスメントツール(精錬版)を作成した。7)ネットワーク活動メンバー対象の研修会の開催、研究成果の発表と国内外の看護職との情報交換を目的に、情報交換研修会、アジア諸国を中心とした災害看護国際会議を企画主催した。これらの研究成果から、災害看護関係情報の基地整備の必要性、国内外の看護職が災害看護ネットワークを構築することの有用性、災害看護教育の早期実施、普及の重要性が示唆された。