- 著者
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源俊頼
- 出版者
- 写
源俊頼(1055?-1129以前没)による歌学書。藤原忠実(1078-1162)の命により、その娘・高陽院泰子(1095-1156)の教育のために著された。天永2年(1111)から永久2年(1114)頃の成立と考えられている。伝本は藤原定家(1162-1241)による書写本系統と顕昭(1130?-1211生存)による書写本系統の2系統に分類される。当該本は江戸時代書写の末流写本ながら定家本の本文を伝える伝本として重視されてきたが、近年、冷泉家時雨亭文庫の蔵書の中から当該写本の祖本にあたる嘉禎3年(1237)書写の写本(重要文化財)が発見された。歌語の解釈や歌人の逸話を多く記し、後代の歌学書に与えた影響も大きい。また、『今昔物語集』に収められた一部の説話の出典とも考えられている。(海野圭介)(2020.2)