著者
森川 千鶴子 モリカワ チヅコ
出版者
呉大学看護学部
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.16-21, 2004-09

本研究の目的は,痴呆の進行に伴い自分の想いを自ら表出する機会が減少してくる高齢者が,どのような願いを持ち,入院生活を送っているかをから明らかにすることによって,看護・介護者が重度痴呆性高齢者の理解を深め,今後のケアの向上を図ることである。A病院のアクティピティ活動「七夕」に参加した,痴呆性高齢者157人の短冊を対象とした。七夕の短冊は,ひらがなの表現が多く全体的に短い文章になっていた。短冊の全体的な平均文字数は10.7文字であった。短冊は,「元気」「長生き」「家族」「仲良く」「お金」「仕事」「短歌」「その他」の8つのキーワードに分類できた。痴呆性高齢者の認知力は,徐々に進行し障害されてくるが,すべての機能が同時に失われるわけではない。様々な季節の行事は,過去の体験からの長期記憶を掘り起こす貴重な関わりとなり,学習が促進してくると考えられる。保たれた能力を生かした直接的なケアの効果は,日常生活の基本的な動作の反復から生まれてくるのではないかと思われる。痴呆が進行してくると,本人自らが積極的にアクティピティ活動に参加することは難しくなることから,看護職は介護職・作業療法士ら他職種と連携を取りながら,アクティピティ活動への参加を促していく必要がある。
著者
平岡 敬子 ヒラオカ ケイコ
出版者
呉大学看護学部
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.7-12, 2006-03

パキスタン北西辺境州,ペシャワールの南西約35kmに位置するシャムシャトー難民キャンプには,現在8万人のアフガニスタン難民が生活しているが,医療施設はおろか医療従事者も皆無である。広島市のNGOを中心に同地域へ医療援助を行う上で,最も有効な援助プログラムを具体化するため,難民たちの健康を脅かしている問題を明らかにするため健康調査を行った。その結果,難民たちの90%以上が過去1年間に何らかの疾患にかかっていた。その多くは感染による発熱,慢性的咳嗽,上気道感染,マラリア,コレラ,腸チフス,下痢症であった。下痢,マラリアは小児に多く,頭痛は成人,とりわけ女性に多かった。難民たちは病気になった場合,年長者の助言を聞きながら家庭内で対処しており,保健に関する情報源は皆無に等しかった。難民たちは,感染症と母子保健の問題を健康課題としてあげており,医療サービス・医療情報の欠如,貧困や飢餓,水の汚染やごみ処理等の環境問題が心身共に自分たちの健康障害に著しい影響を与えていることを認識していた。彼らは,適切かつ迅速な処置によって簡単に治癒できる疾患や,プライマリヘルスケアの充実により予防可能な疾患に苦しんでいることから,人間が生きていくために最低限必要な保健医療設備の供給と,将来にわたってこの地で保健活動に従事できる人材の育成が必要不可欠である。