著者
永冨 陽子
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 = Journal of Osaka University of Economics (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.393-398, 2015-11

本論文は,職場におけるハラスメント体験の有無によって,労働者のストレス要因,ストレス反応,ソーシャルサポート及び満足感の自覚に違いがあるかを検討したものである。正規雇用者300名を対象とした分析の結果,ハラスメント体験の有無は,仕事の量的・質的負担ではなく,職場での対人関係,情緒的負担,役割葛藤,仕事のコントロール,仕事の適性及び仕事の意義と強く関連していることが明らかになった。また,ハラスメント体験は,深刻な心理的ストレス反応につながる可能性があることが示唆された。今後,ハラスメント体験に起因するストレッサ―の発生過程などをさらに検討することが必要である。
著者
永冨 陽子
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 = Journal of Osaka University of Economics (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.223-233, 2015-05

本論文は,職場におけるハラスメントとメンタルヘルスに関する研究動向と課題について述べたものである。既存の国内の研究報告をレビューした結果,ハラスメントの状況調査が主であり,ハラスメントがメンタルヘルス不調に至るプロセスについての詳細な検討は未だなされていないことが明らかとなった。また、ハラスメントを測定する尺度整備の遅れ,さらにハラスメントを測定すること自体の概念的問題もあることが示された。これらの知見を踏まえ,今後,ハラスメントとメンタルヘルスの因果関係を検証し,ハラスメントがメンタル不調に至るプロセスの精査が必要と考えられた。
著者
Nishiyama Yutaka
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 = Journal of Osaka University of Economics (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.7-16, 2017-01

Japanese schools hold field-day events in spring and autumn, and large gymnastic formations are frequently performed at these events. Over 8,000 accidents related to these formations occur each year, one in four of which involves bone fractures. One factor behind these accidents is attempts at increasingly high human pyramids and towers. This paper calculates the structual loads involved in such human pyramids and demonstrates the dangers involved.
著者
小川 雅弘
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, 2019

就職(内定)状況調査の2018年3月卒業の大学生就職率は98.0%と,極めて高いと喧伝されているが,この数値は高すぎる。この問題はかつて検討したが,再度,学校基本調査と個別大学公表値と比較して検証した。その結果,就職(内定)調査の就職(内定)率は,実態以上に高く出ている可能性が高いことが確かめられた。
著者
小川 雅弘
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 = Journal of Osaka University of Economics (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1-22, 2016-05

国民経済計算SNA方式の国内総生産・国民総所得についていくつかの誤解―「国民」とは国籍を意味するとの説明,93SNAから国内概念が主になった等―が見られる。国内概念を国民概念へ変換する際の海外との受取・支払い所得が,68SNAまでの要素所得から93SNAで第1次所得に変った。その背景にはSNAの生産要素・要素所得に関する考え方がある。国民総所得は,国民=国内居住者による生産への貢献分でもなく,経常的支出の源泉所得でもなく,国民総生産と国民可処分所得に比べてあいまいな概念である。