著者
井梅 由美子
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.11-21, 2019-03-29 (Released:2019-05-30)

本研究では、大学生の男女が将来の自身の結婚や子育てに対してどのようなイメージを抱いているのか、どのような性役割観を持っているのか、実態について明らかにし、これらの結婚観・子育て観に影響を及ぼす要因として、幼少期および現在の父母との関係、父母の夫婦関係、自身の対人交流の仕方(対象関係)から検討した。調査対象は大学生男女380名である。はじめに、結婚観、子育て観の尺度を検討し、結婚観については「結婚への期待・肯定感」と「結婚への負担感」の2因子、子育て観では「子育てへの期待・肯定感」と「子育てへの不安感」の2因子が見出された。各尺度得点の性差を検討したところ、「結婚への期待・肯定感」と子育て観の2因子いずれも女性の得点の方が有意に高かった。次に、これらに影響している要因を検討し、女性では、現在の母親との信頼関係が結婚および子育てへの期待感につながっていた。また、男女ともに幼少期のアンビバレントな愛着パターンの得点の高さが結婚観、子育て観にネガティブな影響を与え、一方、女性では拒否的な愛着パターンの得点の高さはむしろ結婚、および子育てへの期待を高めていた。さらに、対象関係の下位尺度は様々な影響を与えており、総じて、幼少期の母子関係よりもむしろ、現在の人間関係においての適応が結婚観、子育て観に影響を与えていることが推測された。
著者
三村 昌司
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.113-123, 2015

<p><b> </b> 本稿は、日本の近世近代移行期研究における「主体」という研究対象について、史学史的考察をもとに、改めてその可能性について考えるものである。戦後歴史学において、「主体」は研究対象として重要な位置を占めながら、1970 年代の構造主義や国民国家論(批判)の登場により、後景に退いていった。 しかし1980 年代に研究の進んだ地域社会論において、実は「主体」という研究視座がそのなかで生きており、1990 年代以降ふたたび「主体」を対象とし、かつ方法論的に改めて考察を深める研究が登場しつつあるとみている。最後に、日本における近代社会形成の理解のために、近世近代移行期における「主体」を方法論とした研究の可能性について言及した。</p>
著者
田中 元 鈴木 哲也
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.209-218, 2014

<p> 中高理科教員の免許を取得できる大学の教育系/理学系学部それぞれに於いて化学関連シラバスを調査し、化学用語をノードとしたマップを作成した。今回、マップ作成に当たりノードだけでなくエッジのウエイト評価も行い、マップに採用するノードの選別により妥当性を持たせた。このマップを基に、理学系を教育系の対照とした分析を行い、将来の理科教員に求められている化学リテラシーの姿に迫ろうというものである。結論として、教育系に於ける化学教育はミクロ的領域からマクロ的領域へと理論化学を横断する形を主とし、そこから外れる他の要素の比重は有意に小さいことが挙げられる。ここに見られるものは、化学の使われ方よりも、化学そのものを教えるという目的である。教育系における化学教育の現在の形に於ける改良点、他の方向に向いた発展の可能性が、本研究により示される可能性がある。</p>