著者
山田 典子
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.235-241, 2022-06-20 (Released:2022-06-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1

背景.新型コロナウィルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)ワクチン接種の有害事象として血栓症が報告されている.ワクチン接種後に肺血栓塞栓症を発症した原発性肺癌の切除例を経験した.症例.74歳男性.COVID-19ワクチン2回目接種後3日目より息切れが出現した.単純CTでは左上葉に37 mm大の結節を認めるのみであった.9日目に症状が増悪し酸素飽和度89%,D-dimer 25.9 μg/ml,造影CTで両側肺動脈血栓,左膝窩動静脈血栓を認めた.アピキサバン内服開始5日目には酸素不要となり,D-dimerも7.4 μg/mlと低下した.左上葉結節は原発性肺癌T2bN1M0 stage IIBと診断した.血栓消失とD-dimer正常化を確認し,肺血栓塞栓症発症後3か月目に胸腔鏡下左上葉切除術を施行した.肺動脈の血管鞘は肥厚し剥離に難渋した.術後血栓症の再発は認めていない.結論.COVID-19ワクチン接種後の血栓症は,稀であるが重症例が多く致死率も高いと言われている.今後有害事象を伴った肺癌症例も増加すると予想され,病態解明や治療方針の確立が期待される.
著者
野見山 亜沙美 山田 典子
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.53, pp.1-8, 2021-03-05

「比較すること」は文学を理解する上で欠かせない過程であり、古典文学に関しても例外ではない。そして古典文学には、かつて実在した人物の登場する作品が数多く存在する。作品が変わればその人物の描かれ方が変化していくことも多く、そこが古典文学の特徴であり、面白さとも言えるであろう。本授業ではそのような「人物像やキャラクターは作者が意図的に操作することができる」という点について、「今までに培った能力を用いて、自ら問題に気付き、自ら解決策を考える」方法を用い、そのために「何が必要であるのか、与えられた選択肢の中から取捨選択する」力を測ろうとした。
著者
友田 尋子 山田 典子 三木 明子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.48-54, 2015-01-25

はじめに フォレンジック・ナーシング(Forensic Nursing)は,「司法看護」や「法看護」と和訳されているが,後者の「法看護」は法医学(Forensic Medicine)と対比する和訳として用いられることが多い。本稿はForensic Nursingを,2014年に設立した日本フォレンジック看護学会(http://jafn.jp/)同様に,「フォレンジック看護学」とする。フォレンジック看護学は,イギリス,オーストラリア,アメリカでは1つの確立した看護学分野として位置づけられている。 実は看護場面で出会う対象者と,司法との接点は多い。例えば,DVや虐待を受けた被害者と加害者の両者への看護,交通事故の被害者への看護,現場で患者から暴力を受ける医療職への看護,薬物・アルコールによる中毒死の患者や遺族へのかかわり,虐待などによる脳死者からの臓器移植コンサルテーション,オカルト儀式や宗教団体のなかで宗教の名のもとに行われる人権侵害や身体侵襲,外来受診や手術を受ける受刑者や服役中に病院で出産する受刑者などである。 欧米でのフォレンジック看護は,犯罪を防止し被害者をなくすことを目的とし,被害者と加害者を救済するための看護活動である。日本における現行の加害者支援は,司法精神看護(医療観察法病棟の看護),矯正看護(少年院や刑務所など矯正施設における看護)であり,被害者支援では性暴力被害者への看護としてSANE(Sexual Assault Nurse Examiner:性暴力被害者支援看護師)の育成が,特定非営利法人「女性の安全と健康のための支援教育センター」で行われており,2014年春で330人の修了生がいる。また,フォレンジック看護の視点での教育ではないが,子どもの虐待被害者支援としてけがや病気への看護,DV被害者への早期発見を中心とした看護が存在している。 しかし,日本の大学や大学院では学問的体系がなく,フォレンジック看護学の視点での教育や実践は始まったばかりと言える。その先駆けとしては,2011年4月から甲南女子大学大学院で開講したフォレンジック看護教育や,東京医科歯科大学大学院の司法解剖医学・看護学,2014年3月に設立した日本フォレンジック看護学学会がある。このような動きをとらえながら,本稿ではフォレンジック看護学への期待と展望について考える。
著者
宮口秀樹 沖田 一彦 小竹 亜季 山田 典子 松田 弥亜子
出版者
広島県立保健福祉短期大学
雑誌
広島県立保健福祉短期大学紀要 (ISSN:13420070)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.69-76, 1999-03
被引用文献数
2

片麻痺患者の身体イメージを理解することを目的に, 片麻痺患者29名にSD法による身体イメージの測定を行った。方法は, 川原ら(1991)が身体イメージの因子として抽出した5因子, 1.評価性, 2.活動性・俊敏性, 3.活動秩序感, 4.力量, 5.情動的感情的の中から片麻痺の表現に適すると思われた形容詞対の中から25項目選択した。測定は上肢と下肢にそれぞれ7段階の評価尺度を用いた。さらに, 身体のイメージを12色の色鉛筆で表現してもらった。結果は, 平均で見ると上肢を下肢よりもマイナスのイメージでとらえる傾向がみられた。また, 重い-軽いというような力量性を表す形容詞対でイメージが反映されやすいことが分かった。身体の色のイメージは上肢下肢とも赤系, 青系, 黒をイメージする者が多かった。下肢の機能と比較し上肢の機能は複雑であることがイメージの違いになった可能性が示唆された。国立情報学研究所で電子化
著者
山田 典子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.17-24, 2004-03-31

スリランカは開発途上国の中で最も早く高齢化社会を迎えようとしている。スリランカでは、コロンボに代表される大都市および22の地域の胸部疾患クリニックを拠点にDOTSを活用する結核対策が運用されている。しかし、2002年10月末現在、旧戦闘地域を含む12の地域で未だDOTSの整備がなされていない。さらに、検査設備や技術職の不足などの課題も抱えている。結核蔓延状態を改善していくためには、予防教育により治療中断を防止し、結核治療率を高めることが重要な課題である。
著者
山田 真司 山田 典子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

唾液アミラーゼ活性によるストレス測定値それ自体,および測定値の前後変化と質問紙による主観的な質問項目(疲労感,興味,楽しさなど)との関連については一つの質問項目を除き乏しかった.従って,これらの主観的な感覚は複数の要素から構成されたものであり,唾液アミラーゼ活性によるストレス測定値のみによって代替することは困難であると思われる.ストレス測定値と関連の高かった質問項目は「これから計測するストレス値は高いだろう」というものであったことから,唾液アミラーゼ活性によるストレス測定値に示される客観的な身体状況が主観的にも的確に評価できているという結論が導かれた.
著者
山田 典子 吉村 裕之
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.271-278, 2010-12-10
被引用文献数
3 4

最近, 冷え症者と非冷え症者を判別分析により識別する指標を確立した。本研究では, それらの指標で識別した冷え症の女子学生24名を対象に, プラセボ群, ローヤルゼリー(RJ)低用量摂取群(1.4 g/day), RJ高用量摂取群(2.8 g/day)を無作為に8名ずつ割り振り, 二重盲検試験法により2週間摂取してもらった。冷え自覚症状の程度は, 冷え症関連質問紙および温感質問紙で評価した。腋窩温度, 末梢皮膚血流動態, 手指皮膚表面温度, 緩和寒冷ストレス負荷後の皮膚表面温度の経時的変化なども, RJ摂取前および摂取後2週間目に測定した。その結果, 手部・足部・腰部において, RJを摂取後, 温かく感じていることが判明した。また, 高用量のRJ摂取群では, 安静時の手指皮膚表面温度が有意に上昇し, 腋窩温度と皮膚表面温度との差も小さくなった。RJ摂取群は, 緩和寒冷ストレス負荷後の皮膚表面温度を速やかに回復した。
著者
細川 満子 千葉 敦子 山本 春江 三津谷 恵 山田 典子 今 敏子 工藤 久子 玉懸 多恵子 鈴木 久美子 古川 照美 桐生 晶子 櫻田 和子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.159-165, 2008-12

本研究の目的は、効果的な在宅看護実習を展開するために、学生に実習前に身につけさせたい態度について、教員はどう捉えているか明らかにすることである。研究方法は、北東北3県の教育機関34校に所属する在宅看護実習担当教員を対象に郵送法による無記名式自記式質問紙調査を実施した。調査の結果、13名から回答(回収率は38.2%)が得られた。回答者の臨床経験年数は平均7.0年、教員としての経験年数は平均10.4年であった。実習前に、学生に身につけさせたい態度として293コード抽出され、『対象者の生活様式・価値観にあわせた行動ができる』、『信頼関係形成に向けた行動ができる』、『礼節を重んじることができる』、『学生自身の自立した生活ができる』、『主体的に学ぶことができる』、『医療人としての倫理性を遵守できる』の6カテゴリーとなった。在宅看護実習では、学生は生活者である療養者を援助する者として、『学生自身の自立した生活ができる』ことが基盤となる態度であり、全てのカテゴリーのベースになっていることが考えられた。在宅看護は療養者とその家族の多種多様な生活事象の理解をした上で、健康問題や生活課題をアセスメントし、生活条件やQOLの向上、維持を図る看護について「生活モデル」での援助を展開する必要がある。在宅看護において看護師は訪問者としての立場で支援関係を成立させて、限られた時間で看護を展開するという特徴があるため、『対象者の生活様式・価値観にあわせた行動ができる』ことが重要である。そのためには『信頼関係形成に向けた行動ができる』、『礼節を重んじることができる』態度が在宅看護実習では必須である。また、今後ますます求められる『医療人としての倫理性を遵守できる』ことや、『主体的に学ぶことができる』態度を形成するための教育内容が必要であることが示唆された。