- 著者
-
今井 美沙
Imai Misa
瀬戸 正弘
Seto Masahiro
- 出版者
- 心理相談センター
- 雑誌
- 心理相談研究 : 神奈川大学心理相談センター紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.31-44, 2015-03-31
本研究は,ソーシャルサポートを受けている感覚が乏しい不登校経験者は,被援助志向性が低いという仮説に基づき,不登校経験者の被援助志向性を経験がない者と比較することで検討を行った。そしてそのうえで,ソーシャルサポートのうち,どのサポート内容とサポート源が被援助志向性を高め,不登校経験者の適応に影響を及ぼすのか検討した。その結果,不登校経験者は,経験がない者と比べて被援助志向性が低いことが明らかとなった。しかし,サポートを多く受けていることで被援助志向性が高まるという結果は得られず,本研究の仮説は支持されなかった。一方,不登校経験者の被援助志向性に影響を及ぼすのは,家族・友人以外の「その他重要な他者」からの「心理的サポート」,「物理的サポート」であった。そのため,不登校経験者の被援助志向性を高めるためには,このような存在からのサポートを与える環境を整え,それを基軸に他のサポートへと拡大させていくようなアプローチであることが示唆された。