著者
大塚 雍雄 吉原 雅彦
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.29-39, 1976-12-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
2
被引用文献数
3 5

2変量の関係について,なめらかな曲線をあてはめることが不都合な場合,あるいは,あてはめるべきモデルが未知の場合に,連続的ないくつかの直線的傾向,すなわち,折れ線をあてはめる方法を検討した.折れ線としては,最高2つの折曲点をもつ3つの直線のあらゆる組合せを対象とした.折曲点が未知の場合には,折曲点を点として与えるか,あるいは区間にあると仮定するかによらて,折曲点の求め方は2つの方法に分けられる.いずれの方法も,手法的には線形モデルによる推定,検定方法を用いる.2つの方法について数値例をもって示すとともに,稲め登熟歩合の推移に関する適用例を述べた.
著者
宮津 和弘 佐藤 忠彦
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.161-182, 2015
被引用文献数
1

本研究は,心理的財布と関連して,消費者の心的構成を考慮した購買点数の生起メカニズムをモデル化し,その現象を明らかにすることを目的とする.本研究では,①消費者の購買時における心的状況を表す心的負荷,②心的負荷と閾値パラメータの大小関係で心理的財布の切換が生じる構造を表現する階層ベイズ閾値ポアソン回帰モデルによる購買点数生起メカニズムの2つをモデル化する.モデルの推定は,マルコフ連鎖モンテカルロ法で実施する.小売店舗のID付POSデータを用いて実証分析した結果,消費者の購買意思決定には購買時の心的状況が間接的に影響し,心理的財布の違いによって購買点数の生起メカニズムに差があることを示した.また,副次的であるが,提案モデルを用いると消費者ごとの給料日が推定できることも示した.

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出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.70-70, 1990 (Released:2009-06-12)
著者
矢島 美寛
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-19, 1994-09-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
99
被引用文献数
1 1

長期記憶モデルは系列相関の強い定常時系列データを解析する目的で,Mandelbrot and Van Ness, Granger and Joyeux, Hosking等によって提案された.従来のポピュラーなモデル,自己回帰移動平均モデルを,補完,代替するモデルとして注目を浴び,1980年代以降理論,実証両側面に於て盛んに研究されている.本稿では長期記憶モデルの由来,現在までに得られている理論的結果,実際データへの応用を概説するとともに,今後の課題について議論する.
著者
Qi 旗 坂本 亘 白旗 慎吾
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.135-150, 1998-03-16 (Released:2010-03-03)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

回帰分析は統計的データ解析の本流を成し,多くの分野で適用されている.回帰関数としては通常単一の滑らかな関数を考えることが多いが,回帰関数がある点を境に折れ曲がっているように見えることがある.そのような場合は,回帰関数として単一の関数を想定するよりも,独立変数に2つの相があり,各相で異なる回帰関数を当てはめる方が自然であろう.本論文では回帰関数として1次式を考え,単純直線回帰を帰無仮説,ある未知の点(変化点)を境にして連続ではあるが折れ曲がった2相直線回帰を対立仮説とした検定問題に対する尤度比検定を考える.この場合,検定統計量の厳密分布を求めることは現実には困難であり,漸近的にも標準の漸近理論の仮定が成立せず,したがって対数尤度比検定統計量にカイ2乗近似を用いることができない.この点に関し多くの研究者により様々な議論が展開されてきたが,現在のところ実用的な結論は得られていない.本論文ではそれらの議論を検証し,尤度比検定統計量の実用に耐える近似帰無分布を導いた.さらに,誤差分散の大きさ,独立変数の配置により帰無分布がどう変わるか,また検出力がどう変わるかを調べ,棄却点が分散の大きさにはあまり依存しないことを示した.また,高い検出力を持つ配置が経験的に得られた.
著者
樋口 伊佐夫 佐藤 文昭
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.159-167, 1981-03-20 (Released:2009-06-12)
参考文献数
8

放射線の生体に及ぼす危険度の評価に,発がんによる寿命短縮の重要なことが認識されつつあるが,これに関する定量的研究はまだあまり見られない.筆者らは,その一人佐藤らによって得られた,マウスについての一連の系統的な実験結果から,電離放射線の危険度に関する知見を得るため,まず寿命短縮に対する個々の死因の寄与を計測することを考えた.いまあるきまった照射条件の場合について調べるものとする,考察の対象となるマウスの集団は非照射群(対照群)と照射群とから成る,その各々について,平均寿命ならびに各死因ごとの死亡発生率と死亡時の平均年令が実験データから得られるので,問題は二群間における平均寿命の差に対する各死因の寄与を,それらの情報を用いて算出することである.このためには単純に死因別に,平均死亡年令と死亡発生率の積の二群間における差をつくればよさそうに見えるが,実はそのような量を測っても有用な情報とはならないことが多い.筆者らは,寄与を表わす量として,いくつかの式を試行錯誤的に実験データに適用してみた結果,解釈がつきやすく役に立ちそうな量として,本文の式(4),(5),(14)によって定義されるGtを得た.それをこのような場合の寄与として用いることを提案ずる.この量の導出にあたっては,特定のデータへの適用の妥当性を指針としたが,結果の式には一般的な意味づけもできるので,適用し得る場合が少くないと思われる.
著者
宮川 雅巳
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.69-79, 1989-01-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
12

推定量の偏り,分散,さらに一般的な誤差の尺度をノンパラメトリックに推定するために,ジャックナイフ法,ブートストラップ法など様々なリサンプリング方式が提案されている,本稿では,ジャックナイフ法に関連した直交配列表を用いたリサンプリング方式とその影響分析への応用について提案する.このリサンプリング方式の基になるのは,Hartigan(1969)のTypical Value Theoremであり,本方式で得られるリサンプルはtypical setを形成し,かつ釣合型となる.また,本方式による影響分析では,個々の観測値が注目する統計量に与える影響を,分散分析の加法モデルにより主効果と交互作用としてとらえる点に特徴がある.2つの数値例を通じてその実用性を検証する.