著者
湯川 治敏
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的はロングパイル人工芝に対して適用可能な緩衝性能試験器とその評価法の開発である.スポーツサーフェスは様々な運動様式に対する特性が考慮されるべきであるにも関わらず,従来の緩衝性能試験は単一の落下重錘試験による緩衝性のみによって評価している為,充分な緩衝性能の検討が行われているとは言いがたい.そこで筆者らが開発した緩衝性能試験器をロングパイル人工芝に対しても精度良く計測可能な改良を施し,さらに多段階・多面積衝撃試験法によって非線形Voigtモデルを用いたモデル化を行った.これによりロングパイル人工芝に対して様々な落下衝撃に対する緩衝特性をシミュレーションによって検討する事が可能となった.
著者
松岡 正子 謝 茘 袁 暁文 李 錦 耿 静 蔡 清
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、2008年の.川大地震で被災したチャン族を対象として、復旧復興の現状と問題点を国家とチャン族の視点から分析し、民族文化創出のメカニズムについて考察した。被災地は、政府主導の「中国式復興モデル」によって急速に復旧し、街は近代化され、一部の農村は民族観光村に一変した。しかしそれらは外部者の政府側が主導し、住民は参画しなかったため、従来の自然と共生したチャン文化とは異なる文化が創出された。
著者
大川 四郎 加藤 順一 原 禎嗣 上野 利三 桝居 孝
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

まず、太平洋戦争中の捕虜問題の背景として、防衛省防衛研究所図書館所蔵「金原節三業務日誌摘録」に見られる、陸軍中枢の捕虜観を検討した。当初、当時の俘虜情報局長官は、日本が批准していないとはいえ、俘虜の待遇に関するジュネーブ条約の遵守を主張した。しかし、当時の陸相はこれに反対し、捕虜軽視策が強行された。こうした捕虜観が、軍内部の上意下達機構を通じて、戦場あるいは収容所の現場で、捕虜と直接に接する日本軍将兵らに投影され、例えば虐待という形で現出した(第1部)。次に、本研究の主対象である、日本赤十字社所蔵の太平洋戦争中旧文書(以下、「日赤戦中文書」と略)を調査した。この「日赤戦中文書」には、欠落部分が多いので、本研究では、在ジュネーブ赤十字国際委員会(以下、ICRCと略)附属文書館所蔵の対日関係文書で補完していくという手法を用いた。もっとも、ICRC文書館所蔵文書が膨大であり、実際に閲覧・分析し得た文書は1944年前半期までであった。そこで、分析の対象時期を1942年から1944年前半期と限定し、具体的には、(1)俘虜収容所視察、(2)救恤品配給、(3)赤十字通信、に関する旧文書について検討した。(1)立会人抜きの自由対話が禁じられていたため、俘虜収容所視察が形骸化していた、だが、その枠内ではあれ、函館俘虜収容所のように捕虜処遇に尽力した実例があったこと、(2)日赤俘虜救恤委員部とICRC駐日代表部の尽力で、各種救恤品が各捕虜収容所に配給されていた、だが、救恤品が最終的に、名宛人である捕虜本人にまで届いたかどうかまでは、確認できなかった、(3)赤十字通信は俘虜情報局、日赤俘虜救恤委員部、ICRC駐日代表部の協力で開設されたものであること、を明らかにした(第2部)。総じて、陸軍側の捕虜軽視策に著しく阻まれたが、ICRC駐日代表部と連携した日赤俘虜救恤委員部の捕虜救恤業務が続行された。
著者
宮入 興一 樋口 義治 黍嶋 久好 宮沢 哲男
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の成果は、「平成の大合併」によって基礎自治体が広域化、大規模化し、これに対応するために制度が形成されてきた都市内分権にともなう「地域自治組織」と「住民自治組織」との重層的な仕組みについて、合併の背景や合併経緯、合併方法まで含めて「多層的内部自治組織」として構造的に解明し、それらを類型化して比較分析することによって、「多層的内部自治組織」の本質を究明するとともに、それらが様ざまな形態をとることの意義を住民自治の観点から理論的・実証的に解明し、広域的市町村におけるより好ましい地域自治のあり方を探究しえたことにある。
著者
岩崎 正弥 三原 容子 伊藤 淳史 舩戸 修一
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

農本思想とは、農に特別の価値を認め、その価値を社会の中で追求・実現しようとする思想である。本研究を通して以下のことを明らかにした。1)農本思想は1945年で終息したのではなく、戦後の農村教育や農政にその一部が継承され、帰農や地域づくりにおいて現代にもその影響がみられる。2)日本固有の思考様式だったのではなく、中国の村治運動やアメリカのアグラリアニズムにも認められるように、一種の普遍性をもつ哲学であった。また「社稷」概念は現代においてこそ再評価されるべきである。