著者
伊藤 まり子 金森 悟
出版者
日本産業看護学会
雑誌
日本産業看護学会誌 (ISSN:21886377)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.62-69, 2022 (Released:2022-11-08)
参考文献数
15

目的:企業内産業看護職の業務に対する関与の必要性と能力について,企業担当者と産業看護職の認識を明らかにすることを目的とした.方法:企業担当者および産業看護職(主に,人材紹介会社A社の登録者)を対象に,web調査を行った.産業看護職の15種類の各業務について,①関与の必要性に対する企業担当者の認識,②関与の必要性に対する産業看護職の認識,③能力に対する企業担当者の認識,④能力に対する産業看護職の認識という4つの視点で結果を比較した.結果:解析対象者は企業担当者104名,産業看護職80名であった.結果の一部として,「傷病者対応」は企業担当者の認識において他の業務と比べて相対的に高く,産業看護職では低いことが示された.結論:本研究の結果から,双方の認識の相違について5つの仮説が導き出された.今後,日本全国の企業担当者と産業看護職を対象とした場合に,これらの仮説が支持されるのか,検証していくことが望まれる.
著者
畑中 純子 落合 のり子 立川 美香 鳥羽山 睦子 三木 明子 水谷 聖子
出版者
日本産業看護学会
雑誌
日本産業看護学会誌 (ISSN:21886377)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.11-21, 2022 (Released:2022-04-28)
参考文献数
19

目的:産業看護職として従事する前に必要な知識項目を明らかにすること.方法:日本産業看護学会学会員の看護系大学教員50人,産業看護職50人を対象として質問紙の郵送によるデルファイ法を用いた調査を2020年1月から2月に行った.質問紙は5つの大項目,143の小項目から構成され,同意率は80%以上とした.結果:第1回調査協力者は看護系大学教員23人,産業看護職28人の計51人(回収率51.0%)であった.同意率80%以上の小項目数は109であった.第2回調査は109項目のなかから平均5.5点以上の51の小項目を調査項目とした.第2回調査協力者は看護系大学教員11人,産業看護職15人の計26人(回収率83.9%)であった.同意率80%以上の項目は5つの大項目,50の小項目であった.結論:産業看護職として従事する前に必要な知識項目は5つの大項目,50の小項目であることが示された.
著者
青柳 美樹 髙山 裕子 多賀 昌江
出版者
日本産業看護学会
雑誌
日本産業看護学会誌 (ISSN:21886377)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.9-16, 2020 (Released:2020-11-17)
参考文献数
19

目的:夫の海外赴任に同行する妻の現地相談相手の有無と社会参加率の滞在期間別の比率の差と変化を明らかにすることを目的とした.方法:2016年と2017年にWeb調査を実施し,χ2検定または正確確率検定,CochranQ検定,McNemar検定を用いて差・変化を分析した.結果:1~3年未満群と5~10年未満群において,人との付き合い,特に日本人友人との付き合いは2017年に減少していた.一方で,相談相手のいる妻は増加していた.また,1~3年未満群では,2016年の社会参加率が他群よりも低かった.相談相手・社会参加ともにない妻,または夫との関わりのみの妻は両年とも10%を超え,同一者の傾向にあった.考察:社会参加や人との付き合いを縮小する期間,または関わりを持たない期間を有する妻が一定数いる可能性が推察された.妻が滞在期間中に孤立せず安定したメンタルヘルスを保つための継続的な支援方法を産業看護職は現地関係者と協働して検討する必要があると考える.
著者
石塚 真美 三木 明子
出版者
日本産業看護学会
雑誌
日本産業看護学会誌 (ISSN:21886377)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-7, 2016 (Released:2021-10-29)
参考文献数
28
被引用文献数
1

【目的】病院看護師における仕事の資源・個人資源とワーク・エンゲイジメントとの関連を明らかにする.【方法】3病院の看護師1,014名に無記名自記式質問紙調査を実施した.【結果】ワーク・エンゲイジメントを従属変数とした重回帰分析の結果,経験年数1~3年,4~9年,10年以上の3群において楽観性が,1~3年は看護管理者の力量・リーダーシップが,4~9年は雇用形態,勤務形態が,10年以上は勤務形態,ケアの質を支える看護の基盤,看護師と医師との良好な関係,水平型ソーシャル・キャピタルが有意に関連していた. 【考察】「将来を前向きにとらえる」楽観性は,看護師の重要な個人資源であることが示された.また,1~3年は看護管理者のリーダーシップが,10年以上は教育・研修プログラムが組まれていること,医師との建設的な協働関係や相互の信頼があること,職場のスタッフが互いに認め合い,容易に意思疎通が図れることが仕事の資源として重要であった.4~9年の看護師のワーク・エンゲイジメントに関連する仕事の資源が明らかにならず,今後検討していく必要がある.
著者
今田 万里子 巽 あさみ
出版者
日本産業看護学会
雑誌
日本産業看護学会誌 (ISSN:21886377)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-8, 2015 (Released:2021-10-29)
参考文献数
20

【目的】産業看護職の作業環境管理および作業管理に対する実践能力に関連する要因を明らかにする.【方法】産業看護職513名に自記式質問票を郵送し,206名より回答を得た(回収率40.2%).このうち本研究のテーマに沿って実態がより反映された結果を得るために所属機関が企業の者141名に絞って分析を実施した.【結果】役割認識,実践状況と有意な相関を認めた要因は「作業環境管理および作業管理の活動において社外研修が役立っている」,「作業環境管理,作業管理の活動困難感」など6項目であった.実践能力は役割認識と実践状況を介して各要因から影響を受けていると仮定しパス解析を行った.実践能力は実践状況,OJTが役立っている,から影響を受けており,実践状況は事業主の期待・理解・協力に影響を与えている,というモデルが得られた.【考察】実践能力は作業環境管理および作業管理の実践の蓄積により高められる.またOJTによる教育が重要であること,実践が事業主の期待・理解・協力を得ることにつながることが示唆された.
著者
河野 啓子 工藤 安史 後藤 由紀 中神 克之 畑中 純子
出版者
日本産業看護学会
雑誌
日本産業看護学会誌 (ISSN:21886377)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-7, 2019-10-02 (Released:2019-11-21)
参考文献数
7
被引用文献数
2

目的:本研究は,産業看護職のコンピテンシー尺度を開発し,信頼性・妥当性を検証することを目的とした.方法:産業看護職375 名に無記名自記式質問紙調査票を配布し,回収数211(回収率56.3%)を分析対象とした.まず,我々が事前の研究で明らかにした40 項目を基に項目分析, 因子分析を行い,尺度項目を決定した. 次に,これらの表面妥当性,構成概念妥当性,基準関連妥当性,信頼性を検証した.結果・考察:36 の項目が尺度項目として決定され,すべてで通過率が97%を超えていたことから表面妥当性が検証されたと考える.また,因子分析の結果抽出された「産業看護を遂行する力」「創出する力」「自己成長する力」はコンピテンシーの条件と一致したことから構成概念妥当性は担保され,尺度合計点数と産業看護経験年数との相関がr=0.318 であったことから基準関連妥当性も示唆されたと考える. クロンバックα係数は3 つの因子すべてが0.9 以上だったことから信頼性が検証されたと考える.結論:我々が開発した産業看護職のコンピテンシー尺度は,信頼性・妥当性が検証された.
著者
金森 悟 宇都宮 千春 石倉 恭子 秋元 史恵 鳥羽山 睦子 高波 利恵
出版者
日本産業看護学会
雑誌
日本産業看護学会誌 (ISSN:21886377)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.11-19, 2023 (Released:2023-05-09)
参考文献数
17

目的:今後の日本産業看護学会のあり方に関する会員のニーズを明らかにすることを目的とした.方法:研究デザインはデルファイ法とした.日本産業看護学会の会員363名を対象に,2回のWeb調査を2022年9月から11月にかけて行った.調査項目は,基本属性,学会のあり方に関する原案項目,原案項目以外に学会のあり方で期待することとした.結果:1回目調査は120名(回答率33.1%),2回目調査は98名が回答した.結果を踏まえた著者らの検討により,会員のニーズは【会員向けの情報提供や教育】【産業看護学の推進】【会員同士の交流や相談】【国内外の関連学会・団体等との連携】【社会への発信】【学会の運営】となった.考察:関連学会から出されている学会のあり方と類似する領域もあったが,会員同士の交流や相談に関する領域は特徴的であることが示唆された.結論:会員のニーズは6領域17項目であった.理事会を中心に,対策を検討していくことが望まれる.
著者
長井 麻希江 森河 裕子
出版者
日本産業看護学会
雑誌
日本産業看護学会誌 (ISSN:21886377)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.24-30, 2019-10-02 (Released:2019-11-21)
参考文献数
18

【目的】本研究の目的は,集団認知行動療法を基盤としたストレスマネジメント行動促進プログラムを立案し,IT 企業の新入社員を対象に介入,評価することである.【方法】ストレスに関する講義とグループ討議により各自のストレス状況改善アクションプランを立案し,その後日記をつけるというプログラムを立案した.新入社員56 名を対象に実施し,介入前後の職業性ストレス,ストレス反応,コーピングを調査した.【結果】全プログラム参加者は22 名(39.3%,男性18 名,女性4 名)だった.①全対象者の介入前後における各指標の有意な変化はなかった.②アクションプランに取り組んでいた群とアクションプランに関する記載がなかった群に分けて比較したところ,取り組んでいた群の感情表出コーピングが有意に高まっていた.【結論】講義,グループ討議,セルフモニタリングというストレスマネジメントプログラムは,感情表出の行動変容が起こる可能性がある.